アイガー北壁直下ハイキング
(アイガートレイル Eiger Trail)
1940年〜60年代 この北壁で繰り広げられた登攀。 数多くの悲劇も発生した 日本隊の活躍もあった。 今 登山家の興味はヒマラヤ地方に移ってしまい ひっそりとしている。 新田次郎を初めとした多くの山岳小説にも登場したこの岩壁の直下を 一回歩いてみたいと思っていた
 
アイガーグレッシャー駅付近のスタート地点は雪が残っていた
ノーマルルート、直登ルート等の登攀路が書かれている看板 残念なから上の方は雲に隠れている 見えているのは1800メールの高さのある北壁のほんの下の一部です
 
何カ所か横切る沢に残る雪渓
徐々に高度を下げながらのルート
要所要所にベンチも用意され、コースは約1メートル巾で整備されているので霧が出ても心配ない
雲海を眼下に快適なハンキングが続く
アルピグレンの下りの途中にて
アルピグレン駅からの登りとの合流地点にて
終着 黄色の甲看板にコースの時間と「オープン」と掲示されている こちらからは登りの多いコースとなる
アルピグレン駅横のレストランから グリデルワトの町とベッターホルンが美しい
駅のベンチにて 下はすっかり晴れていた
コースは岩壁と緑地帯の境あたりを走っている
 
アイガートレイル  Eiger Trail
8月12日(月)

ようやく今日から好天に向かいそうな気配。少なくもと雨は降っていない。この一時を狙って、今日はアイガー北壁直下のハイキングルート「アイガートレイルEiger Trail」を試みることにする。

しかし、向かったクライネシャイディックは霧雨状態。それに寒いし、雪もそこここに残っている。接続のユングフラウ鉄道YBで一駅先のアイガーグレッチャーEiger Gletcher駅に降りると、ホームは雪がシャーベット状で残っている。駅員さんにルートの入り口を確認して、線路を渡ろうとしたらそこで滑って転んだ。きっと停車していた車内からしっかり目撃されて一笑をかっただろう。やや擦りむいたが知らん顔してルートへ。そこは一面シャーベット状雪だらけ。しかし幸いルートの先の方は積もってはいないようだし、ルートもオープンと表示されていたので一枚余分に着込んで10時15分スタート。

アイガー北壁、すなわち、かの有名なアイガーバントは雲に閉ざされているが、下のクライネシャイディック方面の眺めは良い。そこには日が射してとてもきれいだ。この調子で、と期待させられる。

ルートはきちんと道とマークが付けられていて迷うことはない。しかし先に何カ所かある沢がここ数日の雨と雪の増水していないか心配。それに心細いことに前後だれもこのルートを歩いていないようだ。同じ列車からも誰も来なかった。

駅からはしばらく下った後で軽い登りとなるが登った地点でアイガー北壁の登山ルートを示したベンチにでる。ハインリッヒ・ハラーの「白い蜘蛛」等本の上では何回も想像逞しく辿ったルートを目の前にみることが出来感激。上の方は雲にかかって見えないが、時より落石や雪崩の音が響き、思わず登攀記録の一節を思い出す。

そこから先はほとんど下りのルートであった。30分おきくらいに休憩をとり、幾つかの沢を越えていくと、ルートの先に人影を発見した。二人のハイカーらしい。沢の向こう側で立ち止まって沢を覗いているようだ。アルピグレン側から登って来て沢で行き止まっているのだろうか?ここから引き返すのは事だし、反対に沢を渡れれば向こうまで行けるのであろうが、心配が募る。

しかし沢に近づいていくと沢は大した事はなく、前の二人は先行者と分かった。多分、30分前の電車からの人だろう。反対に後ろを振り返ってみると遠くに後続者も二人見えた。なんとなく前後を挟まれて安心。

反面、その頃から雲が上がって来て、雲の中に入りやや霧雨状態。足元が危なくなると言うわけではないがせっかくの眺望が効かなくなってしまった。ルートは所々水が染みだしてぬかるんでいるが、よく整備されている。

霧の中は霧の中でまた凄いところを歩いていると思わせる風景になる。段々下っていくと雲はまた晴れてグリンデルワルト方面の眺望が開ける。ルートの周囲も岩から小さな花を付けた草地に変わってきて、ハイキングムードもいっぱい。特に日が射した時はきれいだ。

案内ではこのルートは所要2時間だが私達のペースは遅く、約2時間でアルピグレンに降り始める滝の脇を通過。ちょっと前からアルピグレン側からのハイカーに何組かすれ違うようになる。反対ルートは全体登りルートなので大変だなと思ってしまうが、彼らはそれが好みなのだ。日本人のハイカーにも出会い情報交換した。

アルピグレンまでの下りは、きついルートではないが、岩の上は滑ったりするのでやや注意を要する。スティックも頼りに下って行き、妻の太股もきつくなって来たころアルピグレンに到着。多分、好天であれば見上げる北壁や見下ろす山麓、はるか谷の向こうの風景等より素晴らしいハイキングができるのだろうが、雲が多かった今日のハイキングもなかなか趣があって良かったと思う。

記録
10時15分 アイガーグレッチャー駅出発
途中30分程度ごとに約5分の休憩
12時45分 アルピグレン駅到着
 計11000歩