西欧建築用語集
2022-06-18版
アイウ順
スマホは横画面が見やすい
用語 説明
アーキトレーブ Architrave エンタプラチュアの一番下の要素
アーケード Arcade 教会堂では身廊と側廊の間を区切るアーチ状の構造(大アーケード:メインアーケード) 街中ではアーチ状につながった外通路などを指す 現代では屋根付きの通路をそう呼ぶことが多い 壁面に装飾的に造れた開口部の無いアーケード構築をブラインド・アーケードという
アーチ Arch 石造(レンガを含む)の壁や橋などで下部に空間(窓や通路等)を空けたい場合の方法の一つ。特別な材料を使うことなく、元々の材料を細工し半円形に組み合わせることで構造的に安定となり可能となる。石造の場合はアーチを構成する迫石(せりいし、ブーソア)と、中央頂部に置き全体を安定させる要石(キーストーン)からなる。木材による建築である日本建築では全く一般的ではない構造。
アーチの種類 アーチの形状により分類。
・半円アーチ:一番オリジナルなアーチ。古代社会やロマネスクによくみられる 。ゴシック期に尖頭アーチ が流行ったがルネサンスで復活した。
・馬蹄形アーチ(アラビックアーチ):半円アーチの下をすぼめ伸ばした形 イスラム建築で多用 
・フラットアーチ:上部が円形ではなく水平になっている 
・尖頭アーチ(ポインテッドアーチ):先端が尖ったゴシックの特徴をなすアーチ 
・ランセットアーチ:二つの円弧によるアーチ  
・オージーアーチ:上部がS字型を描くゴシックによくみられる 
・チューダーアーチ:高さの低い屋根型のようなアーチ
・四心アーチ:チューダアーチの背を高くしたような形 
・三弁型アーチ:半円アーチの上に尖頭アーチをつけたような三つの山型をしたアーチ
・多弁型アーチ:多数のボコボコした山形を連ねるアーチ
・トライアンファルアーチ 凱旋門のように中央の大きなアーチの左右に小振りなアーチが並ぶ三連アーチの形式
・ブラインドアーチ 開口部のないアーチ
アーヘン礼拝堂
(ドイツ・アーヘン)
Aachener Dom 805献堂 ビザンツ建築の影響 東方的な集中式教会堂(中央に八角形クーポラ)
アームピット armpit 教会堂の内陣と袖廊の間 ドイツ・ロマネスク教会堂ではここに塔が建てられることが多い
アール Halle 市場(いちば)が開かれる軸組構築物(非壁式)上部階に役所機能併設もあり
アール・デコ様式 Art Déco 20c初頭〜 定規・コンパスで作画できるデザイン様式(建築構造の様式ではない)端正なルネサンス様式と親和性が高い
アール・ヌーヴォー様式 Art nouveau 19c末〜 植物の様態を模したデザイン様式(建築構造の様式ではない)ダイナミックなバロック様式と親和性が高い
アヴィニョン
(フランス)
Avignon 14世紀:市壁構築 アヴイニョン教皇宮殿(1335-55頃) 中世最大の宮殿建築にして城塞建築 ゴシック様式を世俗建築に転用 サン・ベネゼ橋(1177-88)→ 1680年に放棄
いわゆる「アヴィニョンの橋の歌」の橋
アウレリアヌス城壁
(イタリア・ローマ)
Mura aureliane カエサルにより撤去されていた城壁を再建271〜 総延長19Km(西側はテヴェレ川) レンガ作り6m高、3.5m幅、27m間隔で塔 既存の建造物も利用しながら急造
アクロテリオン akrōtērion ペディメントの頂部に置かれる小像
アクロテリオン・アングラー ペディメントの隅部に置かれる小像
アゴラ Agora 古代ギリシャ都市の中の広場 周囲にストア(集会場や商店)を配することが多い
アティック 凱旋門のエンタブラュアの中央に掲示される皇帝の成果を示す碑文
アトランティーズ atlantes 男性上半身の姿をした柱 テルメ柱と同じ?
アトリウム atrium 古代ローマの住宅で入口奥にある中庭風の広間。中世のバシリカ式教会堂の柱廊に囲まれた前庭(=>クロイスター) 現代ではガラスなど光を通す屋根で覆われた大規模な空間。
アファイア神殿
(ギリシャ・エギナ島)
Naos tis Aphaias 紀元前480年頃に建造 六柱式の周翼式(ペリプテロス)神殿(正面6、側面11) 初期の太いドリス式 
アプス apse 教会堂の内陣より先 あるいは祭壇部 教会堂の中では一番聖なる場所となる
アポロン神殿
(ギリシャ・エギナ島)
Naos tou Apollona BC6c 六柱式神殿(正面6、側面11)
アンドレア・ポッツォ
(建築家)
AndreaPOZZO,1642-1709 建築家 透視図法の名手といわれたイエズス会士 サンティニャツィオ教会堂
アミアン大聖堂
(フランス・アミアン)
Cathédrale Notre-Dame d'Amiens 1220-1266 ノートルダム・アミアン大聖堂 典型的ゴシック様式 5廊式 42m高の天井(右塔がゴシック) 3大ゴシック教会堂で「ゴシックの王」と呼ばれる
アヤソフィア大聖堂 =>ハギヤソフィア大聖堂
アリウス派洗礼堂
(イタリア・ラヴェンナ)
ラヴェンナの初期キリスト教建築の一つ
アリュール(歩廊) allure 城壁のカーテンウォールの頂部に設けられた擁壁上部通路
アルター altar 祭壇
アルハンブラ宮殿
(スペイン・グラナダ)
la Alhambra 1238-1391 グラナダ城塞内 ムーア様式(13c後半ムーア人配下に)欧州でのイスラム教最後の拠点となりイスラム建築の影響も強い 室内壁:スタッコ細工と彩釉タイルによる華麗な模様 イスラム庭園文化:庭園+水盤・水路+植栽
皇帝カーヒル5世宮殿16c 外観は正方形平面ルネサンス様式の2階層建築 内部に完全円形の庭園とそれを囲むポルティコ
アルベルティ
(建築家)
Leon Battista Alberti 1404-72 ルネサンスの大建築家 1452「建築技論」を出版 地面→間取り→壁(石造)→屋根→窓・扉の構成=壁式構造(組積造構造) サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂 パラッツォ・ルチェッライ
アロー・スロット Arrow slot 矢狭間 城壁やバスティオン等に開けられる矢を射る為の狭間
アンサント Ansanto 陣地を取り囲む防御用施設 城壁、城門、城塔などの全体を示す
アン女王朝様式 18c前後 イギリスで生まれ、アメリカで華麗に流行した小住宅向けの様式 外観は不規則なデザイン 小さな塔や玄関ポーチと連続したベランダ 窓に特長がありベイ・ウィンドウ(台形に張り出した出窓)、ダブルハング・ウィンドウ,、窓周囲の額縁意匠など。
アンフィ・テアトルム 半円ではない円形劇場=>テアトルム(半円劇場)
イエズス会 Societas Iesu 1534カトリック宗教改革の一環(対プロテスタント)として設立したカトリック宗教団体。イル・ジェズ型教会堂を構築。新しい信者獲得の為の海外布教も推進 フランシスコ・ザビエルも所属。
イギリス積み 日本のレンガ積みの方式名称 列ごとに長短入れ代わる =>フランス積み(同列内に長短交互)
イコン Icon 聖画像 イエス・キリスト、聖人、天使、聖書における重要なできごとや例え話、教会史上の出来事を描いた画像。偶像が禁止されている東方教会堂では必須のアイテム
石落し =>マシクーリ
イスラム建築様式 ビザンツからの影響(ドーム、モザイク) アラベスク(唐草模様)や幾何学的文様、文字文様の装飾 多様なアーチ 馬蹄形アーチ パロティや中庭の重視 中庭にグリッド状に木を並べる 例:メスキータ、アルハンブラ宮殿 =>モスク =>アーチ
イタリアの教会堂 鐘楼と洗礼堂を本堂とは独立して建築することが多い
イル・ジェズ型教会堂 Il Gesù イエズス会活動1534- で使われた教会堂、17c以降のマニエリスム期に流行る。ヴィニョーラにより考案された。
▷山形の教会堂ファサードの身廊と側廊の高さの差をルネサンス様式の二階立ての建物として見せる工夫。1階2階の不連続性を渦巻き状模様(ヴォリュート)で流麗化。
▷ファサードはマニエリスムの双子柱のピラスターや凸凹のあるエンタブラチュアを採用し、内部も含めて全体はバロック様式に収斂していく。
▷ルネサンス様式にみせる対案としてはパラーディオによるジャイアントオーダを使った形式あり。=>ジェズ教会
イル・レデントーレ教会堂
(イタリア・ヴェネチア)
Il Redentore パラーディオ作 異なるオーダを使用→イルジェズ型への対案
インターナショナル・スタイル 欧州で言うモダン・ムーブメント(日本ではモダニズム建築)の米国での表現
インポスト impost アーケード柱のアーチを受ける意匠(エンタブラチュアのイメージに起因)
ヴァンセンヌ城塞
(フランス・パリ)
パリ郊外 ドンジョンを中央に配置する中世城塞
ヴィースの巡礼教会堂
(ドイツ)
hâteau de Vincennes 1745-1754 外観は質素な氏名教会堂 内部は豪奢なロココ調 キリスト像が涙を流したという奇跡でも有名
ヴィニョーラ
(建築家)
Giacomo Barozzi da Vignola 1507-1573 5種のオーダー(トスカナ式、ドリス式、イオニア式、コリント式、コンポジット式)をまとめる イル・ジェズ型教会堂を考案
ヴィチェンツァ
(イタリア)
Vicenza パラーディオ建築の街 世界遺産 
・パラッツォ・デッラ・ラジオーネ(パラディアン・モチーフ)
・パラッツオ・ヴァルマラーナ(ジャイアントオーダ)
・ヴイツラ・カープデ ロッジア・デノレ・カピタニャート(ジャイアントオーダ)
・パラッツォ・ポールト・ブレガーンツェ(同)
・パラッツォ・バルバラーノ(四方に神殿様式、パラディアニズム)
・テアトロ・オリンピコ(遺作)一点透視図法的な舞台)
ウィトルウィウス
(建築家)
Marcus Vitruvius Pollio 〜紀元前15年 共和政ローマ期の建築家 =>「建築十書」の著者
ヴィラ Villa 農村部の邸宅  都市部の邸宅は=>パラッツォ
ヴィラ・ロトンダ =>ロトンダ 1550〜15C末 中央に円形ホールがあり、四方の出入口に6本のイオニア式柱を持つのギリシャ神殿の正面意匠を設置
ウェゲティウス
(建築家)
Flavius Vegetius Renatus 4c末「軍事学概論」を著す 12c頃まで活用される 築城fortificationと囲城戦siegeの理論 
ヴェストヴェルク =>西構
ウエストミンスター宮殿
(イギリス・ロンドン)
Palace of Westminster 1840-1860 ゴシック・リバイバル 垂直方向が強調さた意匠 外壁のコラムの上にはピナクルが乗る整然としたスタイル 中央塔によるシンメトリー構成 ビクトリアンタワー、ビッグベン(時計台)が附属 現在は国会議事堂 ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会堂が連続する
ヴェネツィア
(イタリア)
Venezia 14-15cに海洋帝国として最盛期 世界遺産 サン・マルコ礼拝堂(集中式5ドームのビザンツ様式)→ヴェネツィア総大司教座聖堂 パラツォドッカーレ(総督宮殿)1階ロッジア2階ポテイテッドアーチのアーケード3階大会議場
ヴォールト vault 石積みの内部天井 屋根はこの上に木造で架けられる
・トンネル(半円筒)ヴォールト トンネルのように半円形断面で連なる天井 古代ローマ
・四分ヴォールト ゴシック中〜後期 一つのベイの四隅からリブが伸ばされる 上から見るとX形となる
・六分ヴォールト ゴシック初期 二つの連続したベイの四ツの隅と二つのベイの中央からリブが伸ばされる 上から見ると横軸が入ったX形となる
・ファン・ヴォールト イギリスの教会堂にみられる扇模様
・交差ヴォールト 直交するトンネルヴォールトを各々がぶつかる交差線で接続する形状
・リブヴォールト ヴォールト工法上の接合線をリブという石で補強したもの 13c以降には装飾的な扱いになる
ヴォリュート volute 一般的に渦巻き模様 イル・ジェズ型教会堂では1階部分と2階部分の落差をデザイン的に整合を取らせる為の渦巻き状模様 イオニア式オーダでは柱頭の渦巻き部分
腕木・腕木穴 中世の石積み工事は石積み壁面に腕木穴を作りこそに腕木をさし足場にして行われた 完成後もその穴が残れることが多い 特にイスラム系の建築に多い
ヴュルツブルク司教館
(ドイツ・ヴュルツブルク)
Würzburger Residenz 1720-1765ドイツ・バロックの典型的宮殿 両翼の中央に円形のパビリオン世界最大のフレスコ画
ウルム大聖堂
(ドイツ・ウルム)
Ulmer Münster ゴシック様式 161.5mの教会堂としては世界一の高さの単塔を持つ 献堂1383 塔完成1890
エスカラード escalade 城壁を梯子などで登攀する攻撃方法
エディクラ aedicula(又はエディキュラ)両脇に円柱を立て三角形の小屋根(ぺディメント)を配置した空間。小祠、小神殿。
エルミタージュ(冬宮)
(ロシア・ザンクトペテルブルク)
Ermitazh 1754-1762 ロマノフ王朝が建設 全体としてはロの字型の大宮殿 外周は大オーダの2本積み重ね 薄緑と白の窓枠による特徴的な華麗さ(建築当初は黄色)
エクレティシズム eclecticism =>折衷主義建築
エンタシス entasis ギリシャ神殿で柱に膨らみをつけ遠方からみた時に直線にみえるようにした工夫
エンタブレチュア entablature 梁の部分 ギリシャ風神殿では下からアーキトレーヴ(柱受け相当)+フリーズ(梁小口部分相当)+コーニス(軒相当)部分を言う フリーズは横方向にトリグリフ(3連の縦模様を持つ、小口の象徴)とメトーブ(化粧板)が交互に装飾される
=>オーダー
円柱 =>コラム
円柱
・取り付け形態
構造体としての取り付け(古代ギリシャ神殿) 
装飾体としての取り付け
・デタッチド・コラム(壁前独立柱)
・ハーフコラム(半柱):半円形を壁に取り付け、
・ピラスター(付け柱):板様の柱模様物を壁に取り付け
円柱
・構成要素
円柱とその上下構造=柱礎(ベース)→柱身(シャフ卜)→柱頭(キャピタル)→アーキトレーヴ→フリーズ→コーニス→テュンパノン(破風)→アクロテーリオン  
エンタブレチュア=アーキトレーヴ+フリーズ+コーニス ・神殿の円柱は正面をn本とすると側面は2n+1本が標準
・ドラム 石材の円柱は1本の長い石材手はなく短いドラム缶型の部材(ドラム)から構成される
・フルート 円柱の表面に縦に刻まれる凹み
・スタイロベート 円柱の土台となる床
=>オーダー
円柱
・クレタ島様式
上が太い形
円柱・ジャイアント・オーダー 大オーダー 階を貫く背の高い柱様式 マニエリスム〜バロック期に登場
円柱
・ペア柱
マニエリスム〜バロック時代の柱の使い方の一つ 従来は等間隔に単独設置だった柱を二本ペアにして並べて使う形式
横断アーチ 建物の建築方向と直角に横断するアーチ構造
オーダー理論  Order 柱梁に使われる柱の様式 オーダ理論はヴィニョーラによりルネサンス後期のマニアリスム期に成立 5種類のオーダー(トスカナ、ドリス、イオニア、コリント、コンポジット) ドリス・イオニア・コリントは古代ギリシャ由来、トスカナ・コンポジットは古代ローマ由来 =>円柱
オーダー Order オーダーは西欧歴史建築学の中でも根幹を成すといってよい概念。オーダーは柱(シャフト)と梁(エンタブラチュア)を組み合わせた様式をいう。ギリシャ起源が3種類(ドリス式、イオニア式、コリント式)、ローマ起源が2種類(トスカナ式、コンポジィット式)があり、更に細かく分けられる場合もあるが、一般的には16cヴィニョーラよって5種類に整理されている。
オーダーは要素毎に細かく区分され、様式はそれ毎に細かい違いがある。
簡易的にはエンタブラチュアにはあまり気を回さずに、柱の様式、とりわけ柱頭の様式をオーダーと称する場合もある。
オーダー(古来の用語) ロマネスク時代とゴンツク時代では柱を支えるアーチ状のモールディングを意味した
オーダーの積み重ね 二階、三階とオーダーを積み重ねる場合は下層からドリス式→イオニア式→コリント式→コンポジット式と重ねるのがルール。更にその上に乗せる場合はカリアテッド(女像柱)を乗せる。
岡田信一郎
(建築家)
1883-1932 明治生命館1934日本の古典建築の秀作 中央区立常磐小学校(復興小学校) 黒田記念館本館
オクルス oculus 眼窓 円窓 セントラル・オクルス:ドームの頂点に開けた開口部 例:ローマ・パンテオン
オスベダーレ・デリ・インノチエンティ=捨子養育院、孤児養育院
(イタリア・フィレンツェ)
Spedale degli Innocenti 1421-1445 ブルネッレスキ 初期ルネサンス建築の代表例コリント式円柱とそれをつなぐ連続アーチのポルティコ(柱廊)ただしインポスト(エンタブレチュア相当)無し
オッピドゥム oppidum ガリア人が作った丘の上の集落 その後のローマ人は丘の上には住まず放棄・衰退する
オピストドモス opisthodomos ギリシャ神殿の裏口側の部屋
オベリスク obelisk 元は古代エジブトの神殿に立てられた柱 転用しローマ都市計画で各広場のランドマークトとして置かれる
オリエンテーション orientation 教会堂建築でアプスを東側に持ってくること(入り口は西側を向く) 建築場所によってはそうは出来ない場合も多い
オリュンピエイオン(ゼウス)神殿 Olympieion 132 アテネ コリント式を本格的に採用したローマ時代では最大の神殿 正面8本、側面21本の柱
ガーゴイル gargoyle ゴシック教会堂の雨樋の先端に付く怪物の顔かたちをした放水口。ゴシック時代の特徴の一つ なぜ、このような物が教会堂に飾られているかについては幾つかの説があるが、キリスト教が土着の宗教を持った地域に入っていき布教するに当たって、土着の宗教の象徴をキリスト教に取り込むということの手法(聖母マリアもその一つ)として、土着の宗教の事物も教会堂を守っているとし、土着民に親和性を持たせる為という説あり
カースル Castle =>城塞
カーテン・ウオール curtain wall アンサントにおいて城塔の間の垂直で平板な城壁(幕壁) 現代建築においてはビルを装飾する外壁や外装材
凱旋門 実用的な門ではなく門の形をした記念碑 基本的構成は単一アーチあるいは三連アーチの入口を持つ門だけの構築物(内部空間無し) 正面からは左右に2本ずつの円柱(独立またはアタッチド)を持ち、エンタブラチュアの高さはあり、中央にアティックという皇帝の成果を示す碑文を掲示 アーチの天井は格子模様を持つ格天井
階段小塔 建物に外付けされた螺旋階段の上に置かれる塔
カウンター・カースル Counte castle対抗城塞 攻撃側が防御側の城塞に対して構築する一時的な城塞 攻撃や防御側への補給遮断の為に作られる
カウンター・マイニング Counte mining 敵のマイニング(トンネル)攻撃に対して自らもトンネルを堀り迎え打つ攻撃方法
架構式構造 =>軸組構造
カストルム castellum 古代ローマの野営地 方形陣地で十字形道路を中央に持つ カルドー(南北の幹線道路)とデクマヌス(東西の幹線道路) 交点に中央広場 例:フィレンツェ、ヴィーン、ザダル等
カゼルタ王宮
(イタリア・ナポリ)
Reggia di Caserta 18c建造 宮殿と庭 ナポリのベルサイユ宮殿と言われる ルーブル東ファサードに類似 5階建てバロック様式  1〜2階はルスティカ仕上げ 3〜4階はコンポジット式柱ジャイアントオーダ 5階は屋根裏部屋
片山東熊
(建築家)
1854-1917 コンドルの弟子 宮廷建築が得意 
・1894M27帝国奈良博物館 
・1895M28帝国京都博物館 
・1899-1909東宮御所(現在、赤坂迎賓館) 
・1909M42上野表慶館
・1912M45御所水道ポンプ室
カタリ派 Cathares キリスト教の一派と民族運動の融合 マニ教に影響を受けたと言われる ラングドック地方に拠点をおき、カトリックからは異端と見なされ抗争
合掌 逆V字型の勾配屋根の材
カトリック(教) catholic
・三位一体説(一体性を重視)
・聖体の秘儀=ミサの重視=ミサが行われる教会堂は大事 
・優先順序:神→教会(組織と聖職者と教会堂)→聖書→信者 
・聖書は聖職者の物
・聖書の理解には聖職者の介添えが必要 
・聖母マリアを重視する 
・強固な内部階位構成 
・聖職者は「神父」と呼ぶ 
・教会堂は神との接点の場 
・聖書と共に聖伝も重視
・自力で贖罪不可能(聖職者の力必要)
カトリック改革 トリエント公会議(1545−63):宗教改革の為にプロテスタントにも参加呼びかけたが実現せずカトリック独自の内部改革 イエズス会の設立(1534)と布教活動となった。 
カトリック教会の階位 教皇(pape)=聖使徒ベテロの後継者→枢機卿(cardinal)=教皇選挙の選挙権と被選挙権→大司教(archeveque)と司教(eveque)=地方組織(教区)の長→主任司祭
カリアテッド caryatid 女像柱、女身柱 古代ギリシャ様式の一つ 女性の立像が柱となる。オーダの積み重ねでは最上階位に設置づけられる
カリニャーノ宮殿
(イタリア・トリノ)
Palazzo Carignano 1684 グァリーノ・グァリーニ設計 世界遺産 西面は赤レンガによる曲面を描くバロック様式 東面は赤白色の対比が目立つルネサンス様式だが双子柱やエンタブラチュアはマニエリスムの様相
カルヴァン派 Calvinismカルヴァン主義者 プロテスタントの一派 カルヴァンは生地フランスで宗教迫害に合いジュネーブに逃避。そこで厳格な宗教理念に基づいた神権政治を展開した。彼は予定説(救いが人々の意志や善行とは無関係で、最初から神によって決められている)をうたい、「自分自身の仕事を、天から与えられたもの(=天職)として認識し、正当な方法で懸命に勤しんだ場合、蓄財を認める」とした。この説は産業発達期に適合しスイスからイギリス(ピュータタン派)→アメリカに渡った。
カルカソンヌ
(フランス・カルカソンヌ)
Carcassonne 上城部:3c末〜4c初頭全長1200m市壁(内城壁)構築 12c紀伯城塞建築 13c前半外城壁建設 
下城部:1262年市民反乱により山の下に新町構築(バスティード準拠) 1347年新都市築城建設
カルケドン派 Chalcedonian Christianity 451年カルケドン公会議で「キリストは神性と人間性の両性を具備している」かを議論し、その説を公認。それ以外は異端(非カルケドン派)とした。
カルドー Cardo 古代ローマの野営地カストルム カルドー(南北の幹線道路)とデクマヌス(東西の幹線道路)
ガルドローブ Garde robe 城塞におけるトイレ
カンパニーレ Campanile イタリア語で鐘楼
キープ keep 城砦の中央部に置かれた塔(天守閣相当)ドンジョンDonjonともいう
キャピタル Capital 円柱における柱頭部分 狭義では5種類のオーダー、広義ではビザンツの二重化された形状等多くの種類がある
キャピタル・フォールド 布を折り畳んだようなデザインを持つ柱頭
ギャラリー gallery いろいろな意味で使われる
・回廊 長廊下 世俗建築における部屋と部屋を結ぶ廊下の機能を兼ねる長大な部屋
・教会堂でアーケードの上の二階部屋部分(トリビューン)
・イタリアのピサ大聖堂のファサードにみられるような列柱のデザイン
教会堂のネーミング 聖人に捧げた名前をつけられることが多い(聖ぺテロ教会等)
擬洋風建築 日本における洋風模造建築あるいは日本様式や用途を折衷した洋風デザイン建築
ギリシャ十字 Greek cross 縦横の長さが同じ十字 縦長はラテン十字 教会堂の平面様式としてビザンツ様式の教会堂、霊廟などに多く用いられた カトリックのミサにはうまく適合しない形態 =>ラテン十字
ギリシャ神殿
(時代区分)
・アルカイック期 前650頃〜前480頃の神殿: ダイナミック、荒々しい造形 太いドリス式円柱 例:パエストゥムのへラ第l神殿紀元前530年頃(バシリカ)ドリス式円柱
・古典期 前480頃〜前330頃の古代ギリシャ最盛期:優雅 イオニア式円柱登場 例:アテナのパルテノン神殿紀元前432年完成(ドリス式)、アテネのエレクテイオン神殿紀元前406年完成(イオニア式)
・へレニズム(ヘレニスティック)期前330頃〜前30頃リンドスのアクロポリス神域(紀元前3世紀初期 ロードス島)アテネのオリュンピエイオン(ゼウス)神殿132(コリント式)
ギリシャ神殿
(柱の配置による様式)
・前柱式神殿 プロスタイル 正面部分にのみ円柱を設置した神殿
・両柱式神殿 アンフィ・プロスタイル 正面と後背部分にのみ円柱を配置した神殿 前後4本柱:アンフィ・テトラスタイル
・周柱式神殿 神殿本体の回りを独立柱が囲んでいる神殿 周翼式神殿とも言う
・疑周翼式神殿 神殿本体の回りを独立柱だけでなく壁埋め込み式の柱などを含み囲んでいる神殿
・環状周柱式 円形の神殿の回りに環状に並べた様式
ギリシャ神殿
(柱の数による様式)
・二柱式 ディスタイル 正面に2本の柱
・四柱式 テトラスタイル
・六柱式 ヘキサスタイル
・八柱式 オクタスタイル
・十柱式 デカスタイル
・奇数本数の柱 正面は通常は偶数だが奇数の神殿もある(例:ヘラ第一神殿)
・神殿の円柱は正面をn本とすると側面は2n+1本が標準
キリスト教の色の意味 (教派により異なる、カトリックの場合)
青:マリアの象徴、天国、真実
赤:慈愛、愛、殉教
白:神の光、清らかさ、純潔(処女)、喜び
金:王(すなわちキリスト)、尊厳、威厳
緑:永遠、希望、堅実、忍耐
紫:懺悔、償い、回心、節制
黒:死、苦しみ、悲しみ
キリスト教会(教派) 五大キリスト教派
・エルサレム総主教座 
・アンティオキア総主教座(シリア)
・ローマ総主教座→現カトリック 
・アレクサンドリア総主教座(エジプト) 
・コンスタンティノポリス総主教座→現東方教会・正教会
キリスト教福音史家の図象 4聖人(福音史家) 天使=マタイ 牛=ルタ ライオン=マルコ ワシ=ヨハネとして教会堂天井四隅などに図象として描かれること多い
キング・ポスト King post 屋根組で三角断面の中央に柱(キングポスト)を立て、それで梁(天井)を支える構造
近世築城(15〜18c中旬) 稜堡式築城:基本はバスティオン(bastion)とカーテン・ウォールから構成→「厚さ」で防御←大砲の発展への対応 斜堤→掩蔽道→内塁壁→堀→胸壁(パラペット)と多層な防御構造 塔は大砲の目標となってしまうので設けない
近代(19c)の欧州建築事情 社会の発展に伴い教会堂建築よりも公共建築が盛んになってきた。特定の様式は創造されずに旧来の様式を様々に活用。
@古典主義系=古代ギリシア・ローマの建築に範をとった建築 =オーダーあるいはその周辺の建築要素を用いた建築
→新古典主義(グリーク・リヴァイヴァルなど)、ネオ・ルネサンス、ネオ・バロック 例:ブランデンブルク門、ミラノ・ドゥオーモ広場、パリ・オペラ座、ノイホーフブルク宮殿 
A中世主義系=キリスト教徒の生んだ中世建築に範をとった建築(異教徒が生み出した古代ギリシャ・ローマ建築ではなく)
→ゴシック・リヴァイグァル=ネオ・ゴシック+中世建築の修復+大聖堂の建設再開 例:英国国会議事堂、パリ・ノートルダム大聖堂、フィレンツェ・花のマリア大聖堂、ケルン大聖堂 
B新しい材料=鉄+ガラス 古代からあるが工業化が進む 例:ラブルーストの仏国立図書館(1838年ー)、パクストンの水晶宮(1851年)、エッフエル塔(1889年)
近代19c〜現代20cの教会堂 教会堂の新規建築自体が大幅に減るなか、建築様式や建築思想は教会堂建築の主要素ではなくなり、新しい建築素材や建築構造により自由な表現で作られるようになった。部分的にはポインテッドアーチ等の意匠が利用されている。
クィーン・ポスト Queen post 屋根組で三角断面の中央に柱を立てずに両サイドに立てる構造 屋根裏空間を作り利用できる
クーポラ cupola ドームの頂上に設置される小さな小部屋施設。ドームの姿にアクセントを付けると共に採光や換気の役を持つ。同じ部分に設置さる尖った屋根形状はランタンと言われることもある。
クノッソス宮殿
(ギリシャ・クレタ島)
Palace of Knossos クレタ島:3大陸(アジア、アフリカ、ヨーロッパ)の交流の結節点 紀元前2800-1100ミノス文明期 宮殿建築複合体の出現=後世の古代ギリシア人からみて「迷宮」=宮殿というよりは小都市
グラード grado 市壁(アーバン・フォーティフィケーション)により守られている都市 例:レーニングラード
クラウン・ポスト Crown post 屋根組でキング・ポストと見かけは同一だが構造としては梁で屋根を支える形
グラナダ
(スペイン)
Granada 1492年イスラムからキリスト教が奪還 世界遺産:アルハンブラ宮殿、ヘネラリーフェ離宮、アルバイシン地区 グラナダ大聖堂:16-18cプラテレスコ様式(ゴシックと初期ルネサンスの融合)
クリアストーリー Clerestory 高窓 教会堂の身廊の壁で外に接している部分に開けた一番高い位置に伸びる縦窓 ゴシック様式教会堂ではこの部分が大きく、ステンドグラスがはめられる
グリーク・リヴァイバル Greek Revival 新古典主義の中での古代ギリシャに戻った様式 荒々しく力強い
クリプト crypt 教会堂の地下祭室
グルントヴィークス教会
(デンマーク・コペンハーゲン)
Grundtvigs Kirke 表現派の教会堂の例
クレノー Clénault 城壁最上部の凸型の擁護壁メルロンに開けられた狭間
クロイスター Cloister 修道院・教会堂・大学などの中庭を囲んだ屋根付き回廊
ゲーブル gable 破風 切妻屋根の妻側の垂直壁(通常は上部の三角形の部分を指す)あるいは窓の上に置かれる三角形の飾り(ペディメントと似ている)階段状ゲーブル:屋根側の斜め材が階段状になっているもの
劇場 =>古代劇場
ケラ cella ギリシャ神殿内の主室で神像が設置される ナオスともいう
ケルン大聖堂
(ドイツ・ケルン)
Kölner Dom 正式名称Dom St. Peter und Maria 1248-1880 5廊式の最大級ゴシック建築 ファサードの160mの双塔(片塔は19世紀) 外観の特長として尖頭アーチ窓の上に鋭角のペディメント風の三角形の飾りを付けていること
現代の建築様式 様々な用途の建築が必要とされ、特定の様式の適用は全く困難となる一方、金属やガラスなどの新しい建築素材が出て来て、旧来の建築構造に捕らわれない新しい造形が可能となった。建物全体としての「様式」という概念は消失し、表面デザインとしての流れの中で語られるようになる。
教会堂においても今までにはない造形や表現で多種多様なものが建築される(例:東京カテドラル聖マリア大聖堂・・ロープアーチを用いた無柱構造)
「建築様式」は建物の部分要素としてシンボル的に生かされることもある
・古典様式・・・・・・結婚式場、金融関係、政府施設関係
・ゴシック様式・・・・教会堂やキリスト教関係施設、市庁舎(中世の市民自治の伝統を想起)
・ルネサンス様式・・・オフィスビル(アールデコ様式と共に)
・バロック様式・・・・学術や芸術関係施設
現代建築 金属やガラスなどの新しい建築素材が出て来て、旧来の建築構造に捕らわれない新しい造形が可能となり、建物全体としての「様式」という概念は消失し、壁面のデザインとしての流れの中で語られるようになる。
教会堂においても今までにはない造形や表現で多種多様なものが建築される。(例:東京カテドラル聖マリア大聖堂・・ロープアーチを用いた無柱構造)
「建築様式」は建物の部分要素として生かされることもある
・古典様式→結婚式場、金融関係、政府施設関係
・ゴシック様式→教会堂やキリスト教関係施設
・ルネサンス様式→オフィスビル(アールデコ様式と共に)
・バロック様式→学術や芸術関係施設
建築技論(アルベルティ) アルベルティ著 1452年に出版
第1書:建築の諸要素(敷地、床面、分割、壁、覆い、開口)
第2書:資材
第3書:構法
第4書:公共施設
第5書:各種住宅など
第6書:建築装飾
第7書:公共宗教建築とその装飾(神殿、3種の柱形式+イタリア式)
第8書:公共世俗建築の装飾
第9書:私邸の装飾(数比例も)と建築家:ARCHITECTVSの職能
第10書:修復術
建築時代区分 ・古代建築(〜6c)古代ギリシャ建築、古代ローマ建築、初期キリスト教建築 
・中世建築(6〜16c)ビザンツ様式 ロマネスク様式、ゴシック様式
・近世建築(15〜18c中旬)ルスサンス様式、マニエリスム様式、バロック様式、(ロココ様式) 
・近代建築(19c)新古典主義、ゴシック・リヴァイバル、歴史主義、折衷主義 
・現代建築(20c-)アールヌーヴォー、アール・デコ、表現主義、モダン・ムーブメント等
注:時代は説により1〜2世紀の差あり
建築十書 ウィトルウィルス著AC20〜30頃活躍 現存する唯一の古代の建築書 
建築は公共建築(軍事+宗教+実用)と住宅建築
実用建築とは→港、フォルム、柱廊、浴場、劇場、遊歩廊
第1書:理論、都市、都市防御施設
第2書:建築の起源、構法と材料
第3書:神殿、イオニア式
第4書:コリント式、ドリス式、神殿
第5書:公共建築(フォルム、バジリカ、劇場、浴場、港)
第6書:私的建築(都市住宅、田園住宅)、理論
第7書:壁床天井仕上げ、絵画論、塗料
第8書:水利学(水源、水質、水道、井戸)
第9書:天文学、時計
第10書:建設機械、水利機械、武器、防御
建築様式区分 ・ビザンツ様式Byzantine(5〜13世紀)
・ロマネスク様式Romanesque(10〜12世紀)
・ゴシック様式Gothic(12〜15世紀)
・ルネサンス様式Renaissance(15〜17世紀初)
・バロック様式Baroque(17初〜18世紀)
・新古典主義Neoclassical(18〜19世紀)
・ネオ○○○様式、○○○リバイバル様式(18世紀〜)
注:時代は説により1〜2世紀の差あり
攻囲戦技法 ・エスカラード(梯子で城壁登攀)・ベルフリー(攻城槌)・マイニング(トンネル)・投射兵器 ・大砲 等々
交差廊 身廊と袖廊が交差する部分 ドームが架けられることが多い
攻城塔 衝角を搭載した攻撃用の移動可能な塔 実用には地形や堀など使用上の制約多い=>ベルフリー
皇帝階段 ルネサンス〜バロック期に登場した宮殿内の大階段 踊り場で二つに分かれて上階に折り返しつながる
コーナー・パビリオン coner pavillion 建物の隅に配置されるパビリオン =>パビリオン
コーニス =>エンタブレチュア
コーベル corbel 持ち送り 壁に貼り付けられた飾り柱で下までつながっていず、上部(キャピタル)部分のみの物
ゴシック様式 Gothic Style
ゴシック建築様式 Gothic Architecture
ゴシック教会身廊天井高 サン・ドニ1144 20m
ラン1160起工 24m
パリ1163起工 35m
シャルトル1194起工 36.6m
ランス1211起工 37.95m
アミアン1220起工 42.3m
ボーヴェ1227起工 51m(未完成)
(サンピエトロ 46m 完成聖堂で最高高)
ゴシック様式教会堂の背景 時代背景としては12-13cは神聖ローマ帝国と東ローマ帝国の2大帝国で比較的安定した時代を迎えるなか、フランス地方を中心とした北部欧州では三圃制農業や大都市の形成による拡大した民衆(土着宗教信者)をキリスト信者に改宗させ取り込む必要が急になった。一方では立派な(目立つ)教会堂を建築することが王、貴族、諸公、地方有力者、聖職者の権力誇示や統治の手段となった。住民もそれを望んだ。
▷教会としては「神との交流の場」である教会堂をロマネスク様式ではなし得ない以下の形で実現
⑴もっと「神の光」に満ちていなければならない(ロマネスク教会堂内は光というよりは暗い闇)
⑵世俗を感じさせない「神秘」な場でなければならない
ということに加え
⑶一般民衆に教会の権威を知らしめる畏怖が必要
⑷土着の異教徒をキリスト教に改宗させる工夫必要
▷地域統治としては
⑸集会場としてその都市の全人口を収容できる施設
⑹その都市の権威を他地区に誇示する偉業であること
この要因が大規模で革新的なゴシック様式教会堂の建築の元となった。
ゴシック期としては15cまで続くが、14c以降は百年戦争やペストの大流行による石工の喪失、プロテスタント活動、西ローマ帝国の滅亡など社会が混乱し、教会も社会も建築も実質停滞し次のルネサンス時代を待つことになる。
ゴシック様式教会堂の建築要素 ▷数千人収容できる大規模建築
▷「高さ」で圧倒、畏怖感、遠方からも目立つ姿 =>ゴシック教会身廊天井高 
・垂直方向指向 仰高性 ピア(細い柱模様の束) 高い天井(40m以上も)
・壁や柱の重量感や厚さを意識させない意匠(ピア構造、線状要素) 
・フライング・パットレス(建物を外部から支える支柱)
▷「神秘な光」で交霊を醸し出す
・ポインテッド・アーチ(先がとがった円形窓,荷重分散の為)を使った大きな縦窓、バラ窓  
・大きな開口部にステンドグラスの多用 
▷「異教」の事物の巻き込み、民衆への布教アイテム
・ファサードへの繊細な絵画細工→石の聖書(最後の審判、聖母マリア等) 
・土着の母性信仰の巻き込み(聖母マリアの位置づけ)
・ガーゴイル(雨落としなどの怪物装飾)
その他の特長
・ロマネスクの踏襲(ミサに適するラテン十字形平面バシリカ、ヴォールト、尖塔、放射状チャペル配置) 
・リプ・ヴォールト(半球屋根の骨組み、構造的には効果無し)
・ピナクル(尖塔)、
・壁面の構成:アーケード(arcade)+トリフォニウム(trifonium)+トリビューン(tribune)+クリア・ストーリー(clerestorey) の4層構成も
ゴシック様式教会堂の地域別差異 フランス:仰高性の強い内外観 大胆なフライング・バットレスの姿 重厚な双塔
ドイツ:力強さを表現した外観 高い単塔
イギリス:複雑なヴォールト装飾 細かい縦線要素のデザイン 拡張建築による奥行きの深い教会堂
イタリア:控えめなポインテッド・アーチ(円形アーチと混用)やフライング・バットレス
ゴシック・リヴァイヴァル建築 Gothic Revival architecture 18c後半〜19c 異教徒の作ったギリシャ・ローマ様式(古典建築様式)に対して西欧(仏)でキリスト教として純粋に発生したゴシック様式という認識。建築構造的に古典様式より優れているという認識
古代建築 Antiquity Architecture 古代ギリシャ・ローマ建築 476年の西ローマ帝国滅亡まで
古代(ギリシャ)劇場 テアトルムtheatrum 半円形の劇場(円形はアンティテアトルムamphi-theatrum)客席はtheatron 円形舞台はオルケストラorchestraで元は神事を行うが後世ではオーケストラヒットへ 舞台背景の建築はスケネーskene
古代ローマ建築 厚い石壁構造、半円アーチによる開口部、コンクリートの活用 ヴォールト(トンネルヴォールト、交差ヴォールト) ドーム 装飾的円柱 円柱の積み重ね 例:コロッセウム、パンテオン、メゾン・カレ、ポルタ・ニグラ
古代ローマ神殿 共和制の時代 都市の中に道路や広場に面して建設される ギリシア神殿の全周性に対してローマ神殿は正面性:立派な正面階段、独立円柱は前面のみ、円柱は構造体ではなく装飾体 例:パンテオン
古典 Classic ルネサンス以降のヨーロッパ人が理想化して解釈した「古代」(特に古代ローマ文明)
古典主義 古典を理想と見なすルネサンス以降の建築思想
コトル
(モンテネグロ)
Kotor 世界遺産 12-18cにかけての市壁 聖トリプン司教座聖堂:12cノルマン・ロマネスク様式
コムーネ comune イタリアの自治共同体
小屋組 梁と桁の上に乗せた屋根を支える構造物
和小屋:梁の上に束を垂直に立てて屋根を支える工法
様小屋:垂直な束だけでなく、斜めに渡した材でトラスト構造を造り屋根を支える工法
コラム column =>円柱
コルティーレ cortile アーケードに囲われた中庭
コルドバ
(スペイン)
Córdoba ローマの属州→イスラム支配572→キリスト教奪還1236 ・大司教座聖堂 =>メスキータ
コロセウム
(イタリア・ローマ)
Colosseum 78-82 軸組構造ではなく壁構造(アーチ構法やコンクリ一卜壁) 円柱は構造材ではなくアーチ構造の外に施された装飾と化す 三層順のオーダ使用(ドリス式→イオニア式→コリント式)
コロニアル・スタイル colonial style 西欧人が植民地に建築した西洋風建築 =>ベランダ・コロニアル
コロネード colonnade 列柱 通常は上部がエンタブラチュアでつながった柱の列
コロネット Colonette 装飾用(構造体でない)の小柱
コンスタンティノポリス
(トルコ)
Konstantinopolis 当初はビザンティウム 330ローマ帝国東方領の行政首都で改名 東方キリスト教の本拠地(ハギア・ソフィア総主教座聖堂)テオドシウス2世帝の築城413 高さ13m厚さ4.6m高さ20mの城塔が55m間隔 塔は城壁より10m前突出 その後壁の多重化など多くの強化が行われる 1453オスマン朝卜ルコの攻囲により陥落=東ローマ帝国滅亡 以降イスタンブールと改名
コンスタンティス凱旋門
(イタリア・ローマ)
Arco di Costantino 315頃 コロセッオの近く 最大の凱旋門
サクレ・クール大聖堂
(フランス・パリ)
Basilique du Sacré-Cœur ネオ・ビザンツ様式とネオ・ロマネスク様式の折衷主義建築
ザダル
(クロアチア)
Zadar アドレア海に面した港湾築城都市 城壁と海門と陸門(付近にシタデル跡) 古代ローマ時代のフォルム(広場) 聖ドナートゥス教会堂9世紀集中式 聖アナスタシア大聖堂12〜13世紀ロマネスク(内部はバロック)
サン・ヴィターレ聖堂
(イタリア・ラヴェンナ)
asilica di San Vitale 532-547 初期のビザンツ様式のキリスト教会堂 8角形平面 集中型 二重キャピタル 当時のモザイクが残る
サン・カルロッレ・クワットロ・フオン夕一ネ修道院聖堂
(イタリア・ローマ)
Chiesa di San Carlo alle Quattro Fontane バロックの代表的教会堂1668 フランチェスコ・ボロミーニ うねるファサード 正三角形と円などの幾何学図形を複雑に組み合わせた内部空間 楕円形クーポラを縦長に配置 
サンクチェアリ sanctuary 内陣(チャンセル)の奥で主祭壇が置かれるエリア
ザンクト・ヨーハン・ネポムク聖堂
(ドイツ・ミュンヘン)
Sankt Johann Nepomuk Kirche 1746バロック様式 内部は金銀多用のロココ調 間口狭いが両側にジャイアントオーダを備えた細かい細工のファサード 裏側外観は普通の住宅然
サン・ジェルマン・デ・プレ修道院附属聖堂
(フランス・パリ)
Abbaye de Saint‐Germain‐des‐Près 990〜1021パリの代表的ロマネスク教会堂 三廊式
サン・ジミニヤーノ
(イタリア)
San Gimignano 世界遺産 塔の街14/70残存 石積み中空の50メートル前後の塔 塔は13cごろ都市内での権力争いで建造
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂
(イタリア・ローマ)
San Giovanni in Laterano 324 初期キリスト教建築 当初はバシリカ・サルウァトーリス(救世主大聖堂)使徒座聖堂だった 16c大規模改宗 18cに大オーダのファサード構築 現在はローマ司教座聖堂
サン・ジョヴァンニ・バッティスタ司教座聖堂
(イタリア・トリノ)
Cattedrale di San Giovanni Battista 4世紀は3連の教会堂だったが15世紀に取り壊し再建 聖骸布を安置するラ・シンドネ祭室(バロック式の立派な塔を具備)をアプス後ろに建築(1977-4-11火災、再建中)
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会堂
(イタリア・ヴェネチア)
Basilica di San Giorgio Maggiore 1610 パラーディオ作 中央部分をジャイアントオーダにし、二層のペディメント。ジャイアントオーダが長くなりすぎるのを防ぐ為に台座を入れた→イルジェズ型に対する対案
サン・スーシ宮殿
(ドイツ・ポツダム)
Schloss Sanssouci 「無憂宮」の意 フリードリヒ2世(大王)(1712-40-86)の離宮 テルメ住をめぐらせた庭園側ファサード=バロック様式,コリント式独立円柱をめぐらせたポノレテイコ(柱廊)=新古典主義の萌芽 鏡を用いたインテリア=ロココ様式
サンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ大聖堂
(イタリア・ラヴェンナ)
Basilica di Sant'Apollinare in Classe 549 バシリカ式 初期のキリスト教教会堂 ラヴェンナ最大教会堂
サンタ・ポリナーレ・ヌオーヴォ大聖堂
(イタリア・ラヴェンナ)
Basilica di Sant'Apollinare Nuovo 初期キリスト教建築群の一つとして世界遺産 3廊式 美しいモザイク画 
サンタ・マリア・アド・マルティレス教会堂
(イタリア・ローマ)
Basilica Collegiata di Santa Maria ad Martyres 古代ローマの神殿パンテオンが教会に転用させた時の名称
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会堂
(イタリア・ヴェネチア)
Basilica di Santa Maria della Salute パルダッサーレ・ロンゲーナ(1598-1682)パラーデモオの孫弟子 建築1631-87 八角形ドームを中心にした集中式教会堂
サンタ・マリア・デラ・フィオーレ教会堂
(イタリア・フィレンツェ)
Cattedrale di Santa Maria del Fiore 1461 ゴシック様式をベースにルネサンスの要素も取り入れられる 42mの大ドーム ブルネッレスキが工法問題解決→ 木枠による工法ではなくリング積み上げ方式へ 外部にサン・ジョバンニ洗礼堂とジェット設計のゴシック様式鐘楼あり
サンタ・マリア・ナシェンテ大聖堂
(イタリア・ミラノ)
Santa Maria Nascente サン・ピエトロ、セビリアに続く大規模聖堂 1470年代完成 5廊式 大理石造 多くの小塔 ゴシックとルネサンスの融合 身廊は低く、クリアストーリは小さいので内部は暗い
サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂
(イタリア・フィレンツェ)
Basilica di Santa Maria Novella アルベルティ 整数比例を活用したファサード 聖堂本体は後世のバロック
サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会堂
(イタリア・ミラノ)
Basilica di Santa Maria presso San Satiro 内陣部分はブラマンテ 1482-86 十字形ではなくT字形 身廊から見るとアプスの後ろに格天井と列柱の空間があるよう見える騙しえ装飾
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂
(イタリア・ローマ)
Basilica di Santa Maria Maggiore 初期キリスト教建築 ローマの四大聖堂 3廊式
サンタンジェロ城塞
(イタリア・ローマ)
Castel Sant'Angelo ハドリアヌス帝の墳墓として頂上に礼拝堂 その後、16-17cにサンタンジェロ橋と共にバチカンの入口として要塞化(ベルニーニによるゴシック様式化、橋への彫像の設置) 四方にバスティオンを設置(4聖人の名前付く) バチカンまでは細い通路で結ばれる
サンタンドレ・アル・クィリーナーレ教会堂
(イタリア・ローマ)
Chiesa di S. Andrea al Quirinale ベルニーニの傑作堂 祭壇回りでの彫刻と建築の一体化 外光のダイナミックな演出 コリント式ジャイアント・オーダーのピラスターとイオニア式オーダーの円柱を同一ファサードで併用
サン夕ンブロージョ聖堂
(イタリア・ミラノ)
Basilica di Sant'Ambrogio ロマネスク教会堂1092-1121
サンティアゴ・デ・コンポステーラ聖堂
(スペイン)
Catedral de Santiago de Compostela 1075-13c ロマネスク時代の巡礼路の最終目的教会堂 18世紀にバロック様式のファサードと双塔 内陣はマテオ設計
サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会堂
(イタリア・ローマ)
Chiesa di Sant'Ivo alla Sapienza バロック様式 正三角形を複雑に組み合わせたクーポラ空間
サンティニャツィオ教会堂
(イタリア・ローマ)
Chiesa di Sant'Ignazio 1700聖イグナチオ礼拝堂 ポッツォ設計 建築と彫刻と絵画油然一体となったバロック様式 だまし絵技法の天井画
サン・ドニ修道院附属聖堂
(フランス・パリ)
Basilique Saint-Denis 1136〜1144最初のゴシック様式 尖頭アーチ、フライング・バットレス、リヴ・ヴォールトを採用
サント・シャペル礼拝堂
(フランス・パリ)
Sainte chapelle 1243〜1308 元々はルイ9世の礼拝堂 キリストの荊冠を聖遺物として展示 ゴシック様式 2階層で上層は国王用単廊式、下層は家臣用3廊式
サン・バルテルミー参事会聖堂
(オランダ・リエージュ)
Église Saint-Barthélemy ロマネスク教会堂(内部は18世紀もの)
サン・ピエトロ・イン・モントリオ修道院中庭のテンピエット
(イタリア・ローマ)
San Pietro in Montorio 聖ペテロ殉教の地の礼拝堂(サンピエット:小神殿) 円形の建物の上にドラムとドームを乗せる 1階の内外の列柱はドリス式 ブラマンテ設計 ロンドンのセントポール大聖堂やパリのパンテオンのドームの原型を成す
サン・ピエトロ(教会堂)
(バチカン)
▷正式名称Basilica di San Pietro in Vaticanoヴァチカンのサン・ピエトロ・バシリカ 日本での通称「サン・ピエトロ大聖堂」大聖堂をカテドラルという意味で使うのであればカテドラ(司教座)はないので大聖堂と呼ぶのは誤り 「サン・ピエトロ寺院」寺ではないので適切ではない 「サン・ピエトロ使徒座聖堂」使徒座(使徒ペトロから継承するローマ教皇の椅子のある場所)はあるので、イタリア語ではそう呼んではいないが意味合いとしては正しい
▷元は聖ペテロの墓があった場所 4cには小さな教会堂あり →ブラマンテが再建設計(巨大集中型、中心に大ドーム)
→出来ず→ミケランジェロが再設計(1545規模縮小)
→カルロ・マデルノによりバシリカ様式・ナルテックス構築・正面ファサードのバロック様式化 ・ジャイアント・オーダー・複数の形状を持った柱様式の同時使用・自在な柱間隔・段階的に張り出したエンタプレチュア・真ん中に中心性を持った立体性 
→ベルニーニより楕円形広場・主祭壇1667 聖堂本体は全長211.5m、全幅156m、面積49.737m'、正面間口115m→総全長490m、全幅250m 広場は長径200m、短径165m、高さ18.3m円柱284本、角柱88本 聖堂内の天蓋付きの祭壇(ねじり柱)バルダッキーノ
▷建築に当たって1517年に免罪符を販売。直後にルターによる批判→宗教改革の引き金となった
サン・フランチェスコ・デッラ・ヴィーニヤ教会堂
(イタリア・ヴェネチア)
Chiesa di San Francesco della Vigna パラーディオ作 台座の上にジャイアントオーダ→イルジェズ型への対案
サン・マルコ礼拝堂
(イタリア・ヴェネチア)
Basilica di San Marco 1063-1071 ビザンツ様式 ギリシャ十字形集中形式 5ツの・フリースタンディングクロス形式のドームを持つ 5連のアーチ入り口は2層の多数の小柱で縁取りされている その上には5連のオジーアーチが並ぶ
三位一体説 ▷神は大いなる全世界(宇宙)の創造主「父なる神」と世界の救世主「子なるイエス」と神の活動する力「聖霊」という三つの独立した固有のペルソナを持つが、常に唯一である
▷アウグスティヌス:父なる神は知性、子なる神は言葉、聖霊なる神は愛
というキリスト教を一神教たらしめる重要な教義 初期キリスト教から論争や分派の要因になっている。難解で定説がない。
「 三位一体とは人間の理性によって理解できるものではなく、ただ信じるものである」との解釈もあり
▷三位一体説を唱えないキリスト教派(エホバの証人、モルモン教等)もあり、また唱えても解釈の違いがある
・カトリック→一体性を重視、聖霊は父と子なる神から発する
・東方教会系→各ペルソナの固有性を重視、聖霊は父なる神から発する
▷誤った解釈、例えとして
・様態(モード)説:一つの神が父やキリストや聖霊に姿を変える 一人三役
・三神説:三つの独立した神がいる
・三つ葉のクローバの例え 一つの枝に三つの葉が付くと言う例え←三つの葉を父、子、聖霊との理解が間違い(別れていない)
・水の三態の例え 水蒸気、水、氷という例え← 三つ異なる性格が現れるのではない
・男性の例え 父、父親からの息子、夫という例え←三つの機能、役割ではない
・リンコの例え 皮、身、芯がありリンゴとなっている例え←各々は部分であり、全体の構成要素に過ぎない
サン・ミニアート・アルモンテ修道院聖堂
(イタリア・フィレンツェ)
フィレンツェ ロマネスク教会堂1018-62
三廊式、五廊式 教会堂の身廊(一つ)と側廊の数による区分 通常、西側の入口の数はこの数に一致する
サン・ロレンツオ・マッジョーレ聖堂
(イタリア・ミラノ)
Basilica di San Lorenzo Maggiore 初期キリスト教建築 四方にアプスがある集中式
サン・ロレンツォ教会堂
(イタリア・トりノ)
Basilica di San Lorenzo Real Chiesa王の教会堂 グァリーニ設計 1696主祭壇聖別 町屋に併設されているのでファサード無し 中央にバロック様式のドームを抱く ドームを上観すると悪魔の顔のように見える
シェーンブルン宮殿
(オーストリア・ウィーン)
Schloss Schönbrunn 1696建築計画 第1案はヴェルサイユ宮殿をも超える規模の壮大な計画で実現されず 実現案はファサード=ルスティカ仕上げのl階+イオニア式およびコンポジット式ジャイアントオーダーのバロック調 大広間(大ギャラリー):ロココ調の鏡の間
ジェズ教会
(イタリア・ローマ)
Chiesa del Gesù 1580完成 イエズス会の本拠地 イル・ジェズ様式の発端となった ナルテックスはなくすぐに本堂と接続 側廊部分にはチャペルが並び ほとんど長さのない袖廊 内陣と周歩廊は分離されておらずに一体化 内部は柱と金色に見える壁は細かい模様が刻まれだまし絵を駆使した天井画で、建築と彫刻と絵画が渾然一体となった世界を構築
司教区制度 ・司教座教会:司教区(地方・州・県相当)に一つの司教の座がある、カテドラル 
・参事会聖堂コレジアル:司教区を更に地域分けしたもの(市相当)
・小教区教会堂エグリーズ
・パロアシアル:更に小さい地域(町相当)
軸組構造 柱と梁を構造体として建築する  建築家ロージェの理屈 柱梁構造、架構式構造、楣(まぐさ)式構造などとも称される 対抗はアルベルティの理屈(組積造構造、壁式構造)
シクロ・スタイル 環状に柱を並べる 神殿の場合はトロス様式という
シスマ(宗教大分裂) Schisma 1378-1417年の間、ローマとアヴィニョンにそれぞれローマ教皇が立ち、カトリック教会が分裂 1414コンツタンス公会議にて終結 =>大シスマ
シタデル citadel 都市防衛の中心拠点となる城塞(castle)あるいは要塞
下見板コロニアル様式 アメリカの開拓者用の建物様式 下見板を外壁に使う
下見板 木造住宅の外壁の形式 横長板を重なるように波形で貼付
使徒座 ローマ(カトリック)教皇の聖座、サン・ピエトロ使徒座聖堂(サン・ピエトロ聖堂)
シナゴーグ synagogue ユダヤ教の礼拝堂
シベニク
(クロアチア)
Šibenik 世界遺産・聖ヤコブ司教座聖堂 ゴシックとルネサンスの折衷15〜16世紀 
・聖アナ城塞(シタデル)高い城壁と城塔を備えた中世城塞 
・聖イヴァン城塞:稜堡式の近世要塞 
・スヴェーティ・ニコレ要塞(聖ニコレ要塞):稜堡式の近世海防要塞
シャトレ Chatelet 強固な城塞として構築された城門建築
シャルトル大聖堂
(フランス・シャルトル)
Cathédrale Notre-Dame de Chartres 1194-1260 ゴシック様式 ノートル・ダム大聖堂(司教座聖堂) 薔薇窓にキリスト三様の姿→北の薔薇窓:旧約聖書の世界と聖母子 南の薔薇窓:新約聖書の世界とキリスト受難 西の薔薇窓:最後の審判 シャルトル・ブルー ファサードは円形アーチ窓でロマネスクの面影を残している 三大ゴシック聖堂の一つ
シャンボール城館
(フランス・ロワール)
Château de Chambord 1519-1550 フランス王フランソワ1世の別荘 ルネサンス様式だが屋根の多くのランタンや小塔が特長 内部の螺旋階段はダビンチ関与か
宗教改革 =>プロテスタント
十字形 ・=>ギリシャ十字と=>ラテン十字
・フリースタンディングクロス=ギリシャ十字型
・クロスインスクエア=正方形内十字:3x3の間取りの四隅と真ん中で構成する十字形
集中式教会堂 丸形墳墓の形から由来。円形、多角形またはギリシャ十字形の平面 東欧のビザンツ形式・東方系教会堂に多い カトリックのミサの実施には適さない間取り =>バシリカ式教会堂
周歩廊 内陣・アプスを取り囲む回廊エリア 外側周囲に小さな放射状祭室チャペルを配し、そこに聖遺物などを展示したりする
シュテファン大聖堂
(オーストリア・ウィーン)
St. Stephen's Cathedral 外部はタイルを貼った独特のゴシック様式 内部バロック様式 1359 単塔(南塔)136.7m
シュパイアー大聖堂
(ドイツ・シュパイアー)
Speyer Cathedral ロマネスク様式では最大級 元々は皇帝一族の墓所として建造された
衝角(破城槌) 城門、城壁を破壊するための大型の槌
城塞 城壁、城塔、キープ等の防御施設を持った城や領域 カースル
城塔 アンサントの途中に配置される防御、監視用の塔 射手の死角をなくす為に多様な形態が工夫される
城壁 ミュラル
城門棟 ゲートハウス いくつかの城塔からなる出入口施設
初期キリスト教教会堂 ミラノ勅令(313)以降のロマネスク様式までの教会堂 特定の様式は存在しない バシリカ式、集中式、古典建築の転用(ローマ・パンテオン神殿のキリスト教教会堂化)
ジョサイア・コンドル
(建築家)
Josiah Conder 1852-1920 1876明治9年来日 1920大正9年没護国寺埋葬 中世的な建築志向 上野博物館 東京大学 北白川宮邸 鹿鳴館 有栖川宮邸 神田ニコライ堂(初期)三菱一号館 本郷・岩崎邸宅1896M29 古川邸1917T6 一期生:辰野金吾、片山東熊、曽禰達三 
女神柱 =>C264リアテッド
白い鳩 聖霊の象徴 バロック時代のカトリック教会堂の天井に図象化されていること多い
新旧論争 文化・文明は今がよいのか、過去の方がよいのかの議論 ルネサンスまでは過去(古典)が優れていたとの一般認識 建築で言えば中世時代よりギリシャ・ローマ時代の方がはるかに立派で繊細な建築を作れたが、その後衰えてきているのではというような論争。1687年フランスで文学を中心に議論にのぼった。
新古典主義 18-19c 
・建築の初源に戻った考え(柱、梁、ペディメントの軸組工法構造) 
・古代ローマではなく古代ギリシャに戻った考え→グリークリヴァイバル。ギリシャのペディメントはローマのよりも平たい 
・独立円柱を構造体として使う(ピラスターはだめ)ルーブル宮殿東側ファサード、ベルサイユ付属礼拝堂→本質的には石材では無理な軸組工法
神聖ローマ帝国 Heiliges Römisches Reich 962-1806 名乗るのは12c それ以前のローマ帝国との直接継続関係はない ウィーンなどを首都とする
ジンバロ(建築家) Giuseppe Zimbalo 1620-1710 ジュゼッベ・ジンバロ ヴィジェンツァにパラーディオあり→レッチェにジンパロあり 聖母被昇天司教座聖堂 サンタンナ聖堂 サン・ジョヴァンニ・バッティスタ聖堂(1691-1728)
身廊 ネーブNave 教会堂の入り口からアプスに向かう中央部分
スキンチ工法 squinch 正方形の土台の上に丸いドームを載せる工法の一つ。四角形の隅からアーチを伸ばし(スキンチという)、建物本来の辺と合わせ8角形の土台を造り、その上にドームを構築する工法。トロンプ(仏語)とも言う。より洗練された工法としては=>ペンデンティブ工法がある
スクリーン・ファサード screen facade 厚さを持たない装飾的目的でのファサード
スゲリウス
(宗教者)
Sugerシュジェール 1081-1151 ゴシック建築のアイディアを生み出した サン・ドゥニ修道院長で同附属聖堂を建築
スタイロベート stereobate 神殿等の基壇の最上段 この上に円柱が立つ
捨子養育院 =>オスベダーレ・デリ・インノチエンティ
ストア Stoa 古代ギリシャのポリスのアゴラ(広場)を囲む集会場・商店の建物 列柱構造をとっている
ストゥピニージ宮殿
(イタリア・トリノ)
Palazzina di Stupinigi 1712〜30 トリノのベルサイユ宮殿と言われる 六角形を多用した地割りや建物がユニーク ギリシャ神話の狩猟神のディアナ神を主モチーフとする
スパンドレル Spandrel三角小間 隣り合うアーチの上部の弧の間の三角形状の部分 現代建築では薄い金属板による天井作りを言う
スポリア Spolia 戦利品(として取得し活用) 例:ピサの大聖堂の柱
聖歌隊席 Choir 内陣の中で主祭壇の手前におかれる聖職者・聖歌隊の座るエリア
正教会 =>東方正教会
聖公会(イギリス国教) Anglicanism, Anglican Church, 1534国王ヘンリー8世の離婚騒動でカトリックらか分離し独立宗派へ カンタベリー大主教配下の活動 カトリック寄りのプロテスタントと言われている
聖セルフアース大聖堂
(オランダ・マーストリヒト)
Basilica of Saint Servatius ロマネスク教会堂
聖母マリア図象 10c中以降のマリアの像や絵画は青い衣装、三日月に乗る、顔の周りに十二星が散らばる(冠)というスタイルが多い
聖母マリア(信仰) カトリックではキリストの母マリアも信仰対象 ノートルダム、サンタマリア 無原罪で懐胎しキリストを生む=マリアの無原罪の御宿り1854 死後は神により昇天させられ(被昇天1950・アスンシオン)し戴冠を受ける ただしマリアの位置づけは微妙(カトリックとして正式に教義として認められたのは1950 プロテスタントでは非信仰対象 正教会は聖母という扱いではあるが、無原罪懐妊は認めず、被昇天も魂だけ) カトリックの位置づけとしては「神の母」と「教会堂の母」 元は土着の母性信仰をキリスト教拡大の為に取り込んだ為との説強い
聖霊 =>三位一体
セイント・ニコライ教会堂
(ドイツ・ハンブルグ)
St.Nikolai Kirche ゴシック様式 1195完成 単塔147m 大戦で損壊し修復中
ゼウス神殿
(ギリシャ・オリンピア)
Templum Iovis Olympii アテネ最大の神殿 8柱式二重周翼神殿 幅41m奥行き81m ゼスウの巨像:高さ12m木製象牙・金貼り・座像 コンスタンティヌスへ移動しキリスト教文化の中で破壊か?
=>オリュンピエイオン神殿
ゼウスの神殿・デルガモン博物館
(ドイツ・ベルリン)
ゼウスの大祭壇 紀元前180〜160 ベルリンに移設
世界遺産 登録・審査機関 ユネスコ活動の一環
文化遺産→イコモス、自然遺産→IUCN
世界遺産 クライテリア 1 創造的才能を現す傑作
2 建築などの発展に大影響を与えたもの
3 残存または消滅した文化の証拠
4 時代様式の見本
5 伝統的集落や土地利用の例
6 顕著な出来事、伝統、思想、信仰、芸術・文化作品などに関連するもの
世界遺産 オーセンティシティ デザイン、場所、材料、技術
石材 ・大理石 変成岩の一種 色合いと微細性に富み彫像や装飾壁などに利用 例:イタリアのカッラーラ大理石(カララビアンコ)
・花崗岩 火成岩の一種 雨風耐性に富む 大粒なので彫像等には向かない
・石灰岩 堆積岩の一種 硬度はそれほど高くない建物材として適す 例:イタリアのトラバーチンは化粧石として有名
セグメンタル・ペディメント segmental pediment 上部が三角形ではなく円弧になっているペディメント
折衷主義建築 エクレティシズム 近代の建築家の問題意識として 
・自らの建築を「様式」概念でとらえざるをえない事情 
・一方では新しい建築用途の登場で整理しきれない事情 
・自らの時代の独自の「様式jとは何かという問題意識
・過去の様式を折衷すれば、新しい様式をうみだせるのではという意識
このような問題意識の元で考えられた建築 
セビージャ
(スペイン)
Sevilla ローマの属州→イスラム支配7c-13c→キリスト教奪還1248 ・大司教座聖堂 ムデハル様式 当初のイラスム建築を一部残し(塔の下層部はミナレット)ゴシック様式で再建地区 5廊式 ゴシック式聖堂では世界最大の内部面積
セプティミウス・セウェルス凱旋門
(イタリア・ローマ)
Arcus Septimii Severi 203 凱旋門のモデル的存在 フォロロマーノ 4本の円柱(独立だが構造柱ではない)3ツのゲート
セラ Cella ギリシャ神殿の中心部にある部屋 女神像などが置かれ、立ち入りできるのは神官のみ
迫枠(せりわく) 石造のドームやヴォールトを作る時にその工事土台として設けられる一時的な木製の枠 どれだけ大きな迫枠をつくれるかでドームやヴォールトの大きさが決まる
線状要素 柱や壁面を縁取り分割する細い棒状をした意匠・建築要素 ゴシック教会堂の柱に顕著に見られる
選定候 皇帝→王→選定候→伯、王→辺境伯 選定候:神聖ローマ帝国の君主ローマ王(ドイツ王)に対する選挙権(選定権)を有する
尖塔 spire 先端が尖った塔(一般的には横から見ると三角形)
尖頭アーチ =>ポインテッドアーチ、アーチ
セント・ポール大聖堂
(イギリス・ロンドン)
St Paul's Cathedral 1675-1710 バロック様式 ファサードは二階建て 1階は6組の独立ペア柱ポルティコ 2階は4組のペア柱の両脇にアタッチドペア柱ポルティコ 交差部に高さ113mの二重ドーム
双柱 ペア柱 双子柱 ジェミネイテッド・キャピタル 2本対に設置した柱
ソーサードーム saucer dome 皿屋根 半円形よりは背が低い皿状のドーム
側廊 aisleアイスル 教会堂の身廊の左右に配置されるエリア
組積造構造 石造壁を構造体として建築する 建築家アルベルティの理屈
対抗はロジェの理屈(軸組構造、柱梁構造、架構式構造、楣(まぐさ)式構造)
袖廊 トランセプトtransept 身廊と直角に平面交差し、十字形を構成する張り出し部分
曽禰達三(建築家) 1853-1937 コンドルの弟子 旧鹿児島県庁舎(1925) 旧三井銀行小樽支店
ゾロアスター教 Zoroastrianism BC10-AC6世紀頃に中央アジアで生まれた宗教 火を神聖視するため 「拝火教」とも言われる 二元論をとる
ソロモンの柱(ねじり柱) Solomonic column 螺旋円柱 特にバロック時代に多く用いられた。楕円やロココ調などと共にダイナックなバロックの建築の様式に適合した。
大階段 =>皇帝階段
大シスマ The Great Schism 1054 ローマ教皇を首長とするカトリック教会(西方教会)とコンスタンディヌーポリス総主教の東方正教会に分裂 それ以前に東西でのキリスト教解釈の違いも多くあり分裂の要因となった
=>東方正教会
大聖堂 cathédraleカテドラル 本来の意味:司教座(カテドラ)が置かれる教会堂、日本では規模の大きな教会堂をそう呼ぶことが多い
タイバー tiebar アーケードのアーチ等を構造強化する鉄のバー イタリアに多い 建築手法・外見的には無粋
多柱様式 ギリシャ神殿の様な柱を多用した様式をいうが、狭義としてはイスラムモクスの様に室内に多数の柱を配置した形式を示すことあり。例としてスペインのメスキータ教会堂。
辰野金吾
(建築家)
1854-1919 コンドルの弟子 コンドルと同じ中世的な建築志向 
・1914T3東京駅丸の内本舎(東京停車場)辰野式=フリークラッシック(古典主義的ななにか)辰野自身はクイーンアン様式(ゴシックとルネサンスの混用)という 石材とレンガの縞模様は当時の欧州見られる(ヴェローナのサン・ツェノーネ教会堂、サン・フェルモ・マッジョーレ教会堂等)←アムステルダム駅がモデルではない
・日本銀行本店M29日本人が設計監理した最初期の古典主義建築 増築された3号館は長野字平治設計 
だまし絵 =>トロンプ・ルイユ
タレット(小塔) Turret フライング・バットレスや教会堂の屋根に付けられる小さな塔。装飾的な役割と荷重をかけて構造物を安定させる役割がある。
築城 Fortification 防御のための構築物又はその活動 
チャプターハウス Chapter house 教会堂の本堂に付随した小部屋(通常は本堂とは独立した多角形建造物)。聖書の講読会や会議などで使用される。
チャペル(礼拝堂) chapel
・大規模教会堂内の周歩廊などに設置され聖遺物などを展示する小部屋  
・聖職者が在住しミサが行われる教会堂チャーチに対し、辻や小村などに設置される聖職者が在住しない拝堂
地中海文明 クレタ・ミノス文明→ミケナイ文明→古代ギリシャ文明→ギリシャ・ローマ文明
中世築城 囲壁=城塔(tower)とカーテン・ウォール(curtenwall)が重点 「高さ」で防御=垂直式防御の考え 後世で大砲が登場してくるとこの築城方法は無効となる =>近世築城
チューダー様式 Tudor style 15-17cのイングランドでの建築装飾様式(構造ではない) ハーフティンバー外観、チューダ・アーチ、レンガ煙突、垂直志向の強い壁面装飾
柱梁構造 =>軸組構造
頂華 =>ファイニアル
テアトルム =>古代劇場
ディオクレティアヌス窓 Diocletian window =>浴場窓
ディオクレティアヌス宮殿
(クロアチア・スプリト)
Dioklecijanova palača ディオクレティアヌス帝隠居後の宮殿(293-305) 前面は海 方形で十字形通路を持つカストルム作法で築城 カルドー(南北町幹掛道路)とデクマヌス(東西の幹輯道路) 交差部分にペリスデューリウム(列住付き中庭) 東門:ポルタ・アルゲンテア(鉄門)西門:ポルタ・フェッレア 北門:ポルタ・アウレア(金門) 中世14世紀に西側に拡大しバスティオンを備えた城壁構築
ティンパノン ・建物入口上にあり、まぐさ(横木、リンテル)とアーチによって区画された装飾的な壁面。半円形か三角形をし、彫刻などが飾られる
・ペディメントにより作られる三角形の形状の壁面
デクマヌス Decumanus 古代ローマの野営地カストルム カルドー(南北の幹線道路)とデクマヌス(東西の幹線道路)
スタッコ stucco 化粧漆喰
デルフィ
(ギリシャ)
Delphi アテナイ人の宝物庫があった 古代ギリシャ劇場
テルメ柱 男性上半身の姿をした柱 ローマの大浴場の柱に起因すると言われる
天使と鳩 バロック時代に表現されるキリスト教アイテム 天使9階級に分かれており、セラフィムがその最上位 鳩は聖霊の象徴
天井画 ルネサンスまでは天井に額縁の様な縁取りを描き、その中に絵を描く バロックになってからは「額縁」がなくなり、下から見上げた風景を描く 更には壁や彫刻と一体化して描く =>トロンプ・ルイユ
テンピエット Tempietto 小神殿 ザンピエトロインモントリオ修道院(ブラマンテ設計)
ドヴァ
(モンテネグロ)
два 教会建築群 聖イヴァン主教座聖堂7c 至聖三者聖堂19c東方風
投射兵器 artillery バリッスタ:巨大な弓 岩石(砲弾)を打ち出す カタパルト(40-50Kg,500m) トレビュシェ(40-150Kg)
東方正教会 Eastern Orthodox Church 元はカトリックと同じ流れだが徐々に実態が異なり、1054年に分離し(大シスマ)別の宗派に 
・東方キリスト教、正教会として国・地方ごとの独立組織(ロシア正教会・ルーマニア正教会・ブルガリア正教会・グルジア正教会、日本正教会等)
・総主教〜符主教〜大司教〜司教〜司祭〜補祭 カトリックのように世界統一で強固なものではない 
・三位一体を至聖三者(各ペルソナ重視、聖霊は神霊という)と解釈 神霊は父なる神から発する(カトリックは父と子)
・自力で贖罪可能(人間の本質は悪ではなく汚されているだけ) 
・マリア(マリヤと呼称)をカトリック程は神聖化しない(無原罪懐胎ではない、被昇天されるのは肉体と魂の両方ではなく魂だけ)
・教会堂は大型はギリシャ十字形(例:ハギヤソフィア大聖堂)、通常は長方形平面のバシリカ式
・偶像禁止726(平面絵画はよい)なので教会堂内部装飾はモザイク画とイコンが多い
ドーム Domoドォーモ(伊) Domドム(独) ルネサンス時期に重要な建物(大聖堂等)を覆う屋根の意味を持った パンテオンのドームは屋根ではなく天井の意味を持つ
ドームの本体工法 ・木枠の上に石材を置いていき、最後に頂上のキーストーンを置いて安定させる工法(大型ドームでは長い木材木枠が必要) 
・リング状に石材を持ち送り方式でつぼめながら重ねていく工法(ローマ・パンテノン神殿、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂など)
ドームの土台工法 基本的課題は四角い建物に丸いドームを乗せる問題  
・土台(建物)を円形又は多角形にする方法 
・四角形の隅に梁を渡し8角形の土台を作る=>スキンチ工法
・四角形の土台の上に円形の土台を作る=>ペンデンティブ工法 
ドッスレー =>ピラスター
ドブロヴニク
(クロアチア)
Dubrovnik 世界遺産 陸地から張り出した岩礁の上の都市 15-17cに全盛 
聖イグナチオ大司教座聖堂:イル・ジェズ似 総延長1.9Kmの市壁12-17世紀 中世城塞と近世城塞が混在して残る 
ドミノ・システム dom-ino system ル・コルビュジエの提唱した理論 柱とスラブ(床と天井・屋根の融合体)と階段から構成される建築
ドム教会
(オランダ・ユトレヒト)
Domkerk St. Martin's Cathedra聖マルティン大聖堂 1382頃完成 112.5mの単塔ゴシックスタイル 1674竜巻で崩壊
トラバーチン travertine イタリア・ローマの石材 石灰質化学沈殿岩 建築石材
ドラム Drum 一般的にはドラム管の様な円筒をいうが、ドームと建物の間でドームを高く見せるための円筒形の構築物、或いはつないで長い円柱を作る為の円筒形の短い石材をいう
トランザム transom 横方向の桟 縦方向の桟はマリオン
トランセプト Transept =>袖廊
トリエント公会議 1543-63 免罪符販売を発端に起こった宗教改革に対抗し、カトリックの信頼性を再生するために開催された カトリックとしての教義の基本を再確認
•救済の原理は聖書と聖人の伝承の両方にあり(プロテスタントは聖書のみ)
・司教の監督権を強化する
・聖職売買と贖宥状販売の禁止
トリグリフ triglyph エンタブレチュアのフリーズ部分にある三連の縦模様をもった部分(円柱の半径の幅) 木の梁の小口の模様の名残と言われる 円柱はトリグリフの真下に設置されるのが原則  端部の柱とトリグラフの関係:ギリシャ式→柱中心とトリグラフ中央が一致しない、ローマ式:一致する
トリグリフの間にはメトーブという化粧版が置かれる
トリノ
(イタリア)
Torino 古代ローマ植民地 中世では五稜郭も備えた市壁に内部はグリット形街区だったが現在は形状残っていない 18世紀サヴォイア家領地 王宮群が世界遺産 サン・ジョヴァンニ・バッティスタ司教座聖堂 その中のラ・シンドネ祭室(聖骸布) サン・ロレンツォ教会堂
トリビューン tribune 教会堂に二階部屋を設ける場合はその部分の堂内への開口部あるいは二階部分 通常はアーケードとトリフォニウムの間に設置される ギャラリーとも呼ばれることあり
トリフォりウム triforium 教会堂ではアーケードの上部構造となる側廊の屋根の上端と下端の高さ差を埋める闇窓・通路窓・小部屋窓を指す 
トロギル
(クロアチア)
Tragurium 大陸と大島の間の海峡にある古代港湾都市 古代ローマ時代の道路網とブロックがほぼそのまま現存する 司教座聖堂:三廊式ロマネスク 鐘楼:ベネチア風 カメルレンゴ城塞:14〜15世紀中世城塞
トレーサリー tracery ゴシック様式以降の教会堂の窓を飾る葉っぱ状や幾何学的な模様の飾り
トレド
(スペイン)
Toledo ローマ都市だったが、711イスラム支配下 1085レコンキシタによりキリスト教下へ 古都トレドとして世界遺産 1227トレド大聖堂 以降時代を経て完成(各時代様式重畳)
トレント公会議 =>トリエント公会議
トロス様式 tholos =>シクロ・スタイル
トロンプ trompe =>スキンチ
トロンプ・ルイユ Trompe-l'œil だまし絵 天井や壁などの平面に描かれても、そこに立体感を描写する絵画 ゴシックやロココなどの室内装飾として、建物、彫刻、絵画でくぎり無い一体感を表現
ドンジョン Donjon 城砦の中央部に置かれた塔(天守閣相当)キープともいう
内陣 チャンセルchancel 教会堂の交差部より奥側中央エリア 聖職者席、聖歌隊席、祭壇などを設置 聖職者しか入れない場所
ナショナル様式 19世紀初頭の米国で主力となったギリシャ神殿風様式。例:米国国会議事堂、ホワイントハウスなど
七不思議(古代ギリシャ世界) 古代ギリシャ世界の七不思議
・エジプトのピラミッド(現存) 
・エフェソスのアルテミス神殿 
・バビロンの城壁 
・バビロンの空中庭園 
・オリンピアのゼウス巨像 
・カリアの大霊堂 
・ロドスの巨像
ナルテックス narthex 拝廊 教会堂入口に構築される建物 信者以外でもここまでは入ることが出来た
ナルボンヌ
(フランス)
Narbonne 大司教と副伯の中世都市 大司教座聖堂と大司教の城塞からなる大コンプレックス(複合建築)
ニーム
(フランス)
Nîmes 古代ローマの神殿建築メゾン・カレ(方形の家)ポン・デュ・ガール:高さ48m長さ269m三段構成の水道橋、紀元前19年建造
二元論 世の中を対立する二つの要素に本質があると理解するもの 善と悪 精神と物体 主観と客観 物体と現象 心と体 キリスト教は唯一神にのみ本質があるとし基本的には一元論で二元論の教派とは対立する
西構・西構え ヴェストヴェルクWestwerk ロマネスク等の教会堂で西端の塔や豪奢建物の構築。西面は通常、教会堂の入り口に当たる為、そのような作りとする。
二重アプス アプスが身廊の両側に設置される ライン川沿いのロマネスキ様式教会堂によく見られる
二重ドーム 工法の容易さ、屋根と天井の重量の分散、目的の違い(内ドームは豪華に、外ドームは高く)等からドームの上にドームをかぶせるという構造 例:フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ
ニッチ niche 建物の壁面に石造などを設置するために作った凹型の窪み
ネオ○○○建築 18c〜 ○○○の様式に則るが新しい意味づけも含めて新建造
ねじり柱 =>ソロモンの柱
ノイシュヴァンシュタイン城館
(ドイツ・バイエルン州)
Schloss Neuschwanstein バイエルン王ルートヴィヒ2世 1868年着工 1880年竣工式 外観はネオ・ロマネスク様式が基本 内部はロマネスク、ビザンツ様式等が混在 最新技術の使用:鉄筋、集中暖房システム、水道システム、水洗便所、電信電話、配膳用リフト、蒸気機関クレーン、巨大な窓ガラス
ノートルダム大聖堂アミアン
(フランス・アミアン)
=>アミアン大聖堂
ノートルダム大聖堂シャルトル
(フランス・シャルトル)
=>シャルトル大聖堂
ノートルダム大聖堂パリ
(フランス・パリ)
Cathédrale Notre-Dame de Paris 1163-1250 ゴシック様式 3ツの入り口のポルタイユ(聖母、最後の審判、聖アンヌ)
ノートルダム大聖堂ランス
(フランス・ランス)
Cathédrale Notre-Dame de Reim 1210 三大ゴシック聖堂の一つ 「ゴシックの女王」と呼ばれる
ノートルダム大聖堂ストラスブール
(フランス・ストラスブール)
Cathedrale Notre Dame de Strasbourg ゴシック様式1647 142mの単塔(双塔の片側だけ作られた) 1647年から1874年まで世界一の高層建築
ノートルダム大聖堂ルーアン
(フランス・ルーアン)
Cathédrale Notre-Dame de Roue ゴシック様式 1544完成 151mの単塔(フランス一)
バービカン barbican 城門を防御する為に城門外部に築かれる防御施設
ハーフティンバー half timbered 柱・梁・筋違などの骨組みを外にむき出しにし、その間に煉瓦・土・石を充填して壁とする西洋木造建築の様式 または1階が石造、2階が木骨造りの建物
バイフォレイト窓 上部が半円アーチとなった双子窓 ルネサンス期
パエストゥム
(イタリア)
Paestum 古代ギリシアの植民都市 
・ヘラ第一神殿(バシリカ):BC530正面9本側面18本ドリス式 ・アテナ神殿(ケレス神殿):BC6世紀末正面6本側面13本ドリス式 ・ヘラ第二神殿(ネプチューン神殿):BC5世紀中旬正面6本側面14本ドリス式 
ハギア・ソフィア大聖堂
(トルコ・イスタンブール)
Hagia Sophia 532-537 東ローマ帝国のキリスト教聖堂で誕生 「聖なる知恵」の意味 コンスタンティノープル陥落後はイスラムモスクに改修 レンガ作り集中式、大ドーム(ペンデンティブ工法)を半ドームで支え、それを小ドームで支える構造、二重キャピタル 。トルコ語ではアヤ・ソフィア
バシリカ式教会堂 古代からのバシリカ集会場(横長ホール)形式を教会堂に適用したもの カトリックのミサの儀式挙行に親和性が高い =>集中式教会堂
バシリカ basilica
・平面様式として長方形の広間→ローマのバシリカ建築 
・教会堂様式としてラテン十字形の様式 
・教会堂の格として「由緒ある教会堂」 例:サグラダファミリア、サンピエトロ
バスティード bastide 13-14cに出現した一連の新都市群 @王〜諸公〜在地領主〜教権との聞における領主間契約が存在 A住民自治や慣習を保護する特許状 Bグリッド状の都市計画 C築城(fortification)の存在
ただし、これらの条件が全部揃っているのはまれ
バスティオン bastion 稜堡 側射や十字砲火を可能とするように城壁から突き出た部分 あるいはそれを可能とする形状を持つ城塞 例:五稜郭
バットレス buttress 壁を補強する為に壁に直接添えられた垂直な補強材や構築物 =>フライング・バットレス
パティオ patio 中庭(スペイン語)
パビリオン pavillion 建物の中間に少し張り出した垂直建築物 元は城砦の塔に由来する 建物の隅に設置される場合はコーナー・パビリオン
パラーディオ
(建築家)
Palladian 1508-1580 イタリア・ヴェネチアの建築家アンドレーア・パラーディオ 後期ルネサンス(マニエリスム期) 1570「建築四書」出版 ヴィチェンツァ市内のパラーディオ建築群 ジャイアントオーダの普及に力 イル・ジェズ型教会堂の対案
パラッツォ Palazzo 市街の中の邸宅 通常は中庭(コルティーレ)を持つ 道路側は少ない出入口部分のみの閉鎖的ファサード様相 農村部の邸宅は=>ヴィラ
パラッツォ・スパーダの柱廊
(イタリア・ローマ)
Palazzo Spada 1653 バロック様式 透視図法を逆手にとり、奥にいくほど幅と高さを減じて実際よりも奥行きがあるようにみえる柱廊を設計
パラッツォ・デイ・コンセルヴァトーリ
(イタリア・ローマ)
Palazzo dei Conservatori ミケランジェロ設計の初めてのジャイアントオーダー
パラディアニズム Palladianism パラーディオの建築様式 正方平面の建物で正面にギリシャ風の神殿様式が付く(例:パラッツォ・バルバラーノ、ホワイト・ハウス)
パラディアン・モチーフ 四角い枠(四角柱と梁)の構造と円柱で支えられるアーチ構造を重畳した様式
パラーディオ窓 パラーディオ(1508-1580 イタリア・ヴェネチアの建築家)の創造による後期ルネサンス(マニエリスム期)の窓。左右の2本柱に支えられたエンタブラチュアを半円形のアーチでつなぐ様式。
パラペット parapet 城塞の上に置かれる擁護壁 一般の建築では屋根・バルコニーの端に設置された転落防止用、部材保護用の柵 
薔薇窓 rose window ゴシック以降の教会堂の大きな丸い窓(通常、ナルテック上部、袖廊の3箇所に設置が多い)キリスト教の物語をステンドグラスで描くこと多い
バルコニー balcony 二階以上に設置される屋外にオープンな回廊のような空間
バルティザン Bartizan 中世盛期末に城塔や城壁の隅部に建設された監視哨たる小規模な塔
パルテノン神殿
(ギリシャ・アテネ)
Parthenon アクロポリス(高い都市)古来から宗教施設の上に建築 BC477-BC432 八柱式の周翼式(ペリプテロス)神殿 前後8本側面17本のドリス式円柱 黄金象牙像アテナを安置
バロック建築様式の背景 Baroque Architecture キリスト教は16cの宗教改革でカトリックとプロテスタントに分離。カトリックはイエズス会創設やトリエント公会議で自らの方向性を再確認し再スタートを切り17c初〜18cに新しい様式の教会堂建築に進んだ。一方では王家や商家がますます強力になっていった。
・王権的要因:神話との関係付けによる王の権威付け、産業振興力を示す鏡(大きなガラス)の活用、ジァイアントオーダー・双子柱による王権の力強さの演出→フランス・バロック
・宗教的要因:反宗教改革の精神をカトリック教会堂に表現 彫刻や天上絵画と教会堂建築との融合による現世と神世界との一体性(ゴシックでは教会堂内が神の世界)と荘厳性・崇高性を同時に表現。→ローマ・バロック
バロック建築様式の特徴 Baroque Architecture マニエリスムからの新しい要素を更に発展させ充実。
・ジャイアントオーダー、双子柱
・等間隔でない柱、様々な凹凸のある柱
・立体的なエンタブラチャアやファサード
・中央を重視した入口部やファサード
・屋外外観と内装内観を独立(おのおの最適に作る)
・建築/絵画/彫像の一体化
・楕円の活用
・ロココ様式の採用
バロック様式教会堂 17c初〜18c 反宗教改革の精神(ゴシックの絶対神ではなく、神と人間との融和)をカトリック教会堂に表現。彫刻や天上絵画と教会堂との複雑な融合による現世と神世界との一体性を重視し構築。
一般的なバロック様式建築の特徴に加え、教会堂内部での建築・彫刻・絵画の一体化、見かけ重視、外は外・内は内の考え 一点透視図法での視野や錯覚の活用や複雑形状の内部空間による融和感、一体感 現世は自然に神の世界につながっているという表現 曲線を描くエンタプレチュア 複雑形状の内部空間 白い鳩(天井中央部、聖霊の象徴)、天使の多用 進む装飾化→白地に金色縁取りのロココ装飾。白は光、喜悦、純潔、金色は王、権力、高貴等を現す。教会にとっても王制にとっても適合する装飾。
ラテン十字形の大型バシリカ様式はあまり使われなくなり、ゴシックのように高さを誇示することはなくなった。
パンテオン
(フランス・パリ)
Panthéon スフロの建築 新古典主義の代表作 当初はカトリック教会として計画されたが、フランス革命後は偉人の墓に変更 独立柱の活用→構造的には現在でも問題含み
パンテオン
(イタリア・ローマ)
Pantheon 118〜128 コンクリート製43mの大ドーム 頂上部は開いたオルクス 7世紀にキリスト教会へ転用され内部意匠はキリスト教化されている部分が多い 2層目の一部にオリジナルな様式が残る ラファエロの墓あり
ピア pier
・支柱、基柱 垂直の構造材
・ゴシック様式教会堂にみられる細い柱形状(線状要素)を表面形態とした複雑な断面構造を持つ柱。
ピアノ・ノビレ piano nobile 建物の主要(重要)階。二階部分に設置されることが多い(一階は半地下)
ピサ
(イタリア)
Pisa 紀元前3世紀頃、対カルタゴの軍港 11c地中海貿易で繁栄 11-13c繊維、ガラス、大理石、金細工で全盛期 世界最古の植物園
ピサ大聖堂・洗礼堂・鐘楼
(イタリア・ピサ)
Duomo,Pisa サンタ・マリア司教座聖堂 ロマネスク教会堂1063-1118-1272 5廊式 ファサードは5段構成で上部4段は円柱の小アーケード 赤色系石材をストライプとして内外装 洗礼堂1153-14cと鐘楼(ピサの斜塔)1173-1350 は独立配置でロマネスク〜ゴシックの混合 柱はシチリアから戦利品として獲得利用 =>スポリア)
ビザンツ様式 Byzantine Architecture 東ローマ帝国の建築様式(6cが最盛期) ペンデンティブドーム 繊細な大理石細工(透かし彫り、浮き彫り) 色彩石やガラスによるモザイク模様
ビザンツ様式教会堂 5-13cに建てられたキリスト教会堂建築の様式 基本的には円形、多角形またはギリシャ十字型の建物、中央と周囲袖にドーム その周囲に付属建物を拡張 東ローマのキリスト教は偶像礼拝禁止726の為、モザイク画/模様やイコン(聖像)を多用 コリント式の柱からの脱却→二重キャピタル等が特長 例:ハギア・ソフィア大聖堂
コンスタンティノープル陥落1453後も各地の正教会としてこの様式を踏襲
ピナクル pinnacle 小尖塔 フライング・バットレスや教会堂の屋根に付けられる小さな塔。装飾的な役割と荷重をかけて構造物を安定させる役割がある。
表現主義 表現主義とは20世紀初頭(第一次世界大戦後)に様々な芸術分野において、感情を作品中に反映させて表現する思想的傾向のことを指す。建築の場合は近代のコンクリートや鉄、ガラスなどの新しい技術を利用したり素材の良さを生かして建築家の思いを実現する主義。 例:グルントヴィークス教会Grundtvigs Kirke
表現派 Expressionismus 明確な定義はないが、何かを表現しようとする流儀 大地から何かが立ち上がるような表現。
ピラスター pilaster 片蓋柱 独立柱ではなく壁に付けられた柱様式 通常は柱頭と柱礎を持つが、柱礎を持たない場合はドッスレーと呼ぶ
ピラスター・バットレス pilaster buttress 建物の構造柱に直付けされる=>バットレス
ピロティ Pilotis 建物を二階以上に持ち上げ通気や自由空間確保の為に地上部分を吹き抜けにしておく柱、あるいはその様な空間
ファイニアル finial 頂華 小尖頭、尖頭の頂上に設置される飾り 教会堂では十字架が設置されることが多い オーブ・ファイニアル:球形の装飾 ウルン・フィニアル:壺形の装飾
ファサード façade 広場や通りに面した建物の顔に位置づけられる面。西欧建築では重要な面で、立派さ、力強さ、華麗さなどが豪華に装飾される。通常、キリスト教会堂は西側の入口の面、ギリシャ神殿では正面入口面がそれに当たるが、一般の民家などでも採用される。日本建築には明示的には現れない概念。
=>スクリーン・ファサード
フィレンツェ
(イタリア)
Firenze ローマ時代の軍事都市のグリッドパターンが残る 中世では教皇と皇帝の権力争い サンタ・クローチェ聖堂1342 パラッツォ・ベッキオ(宮殿)1314 サンタ・マリア・デラ・フィオーレ大聖堂  
プールヴアール 城門や城壁部分の正面に大砲を搭載するために設置された低い土造構築物のことを指すフランス語用語
フォルム Forum 古代ローマの広場 古代ギリシャのアゴラに相当 例:ローマのフォロ・ロマーノ
フォロ・ロマーノ
(イタリア・ローマ)
Foro Romano 元はローマの守護神「ユピチル(キャヒトル)神殿」へ詣でる為の凱旋路と凱旋門を置いた その後、歴代皇帝が各々構築した幾つかフォルム(広場)の複合地区
福音書(キリスト教) マルコ>マタイ>ルカ>ヨハネの4聖人(福音史家)により記録 天使=マタイ 牛=ルタ ライオン=マルコ ワシ=ヨハネとして教会堂天井四隅などに図象として描かれる
双子柱 => ペア柱
フライング・バットレス flying buttress 大きな窓を持ったゴシック時代の教会堂を構造的に支える為に建物外側に作られる支柱構造。下部にある構築物や屋根を避ける為に建物とは離れた外側から手を差し伸べるように支える支柱物 建物に直付けされるバットレスはピラスター・バットレスという
ブラインド・アーチ Blind arch 開口部のないアーチ構造
ブラマンテ
(建築家)
Donato Bramante,1444-1514 ドナト・ブラマンテ ルネサンス期 理想主義の壮大な建築 サン・ピエトロの初期大教会堂設計 ローマのサン・ピエトロ・イン・モントリオ修道院中庭のテンピエット(円形の聖ペトロ殉教の地の記念礼拝堂)  
プラテレスコ様式 Estilo Plateresco 16c頃 スペインでのゴシック様式と初期ルネサンス様式の融合様式 銀細工のような薄浮彫装飾を特長とする 例:グラナダ大聖堂
フランキング・タワー flanking tower 城門の両脇に側面から敵を攻撃できるようにした設置した塔
フランス積み 日本のレンガ積みの方式名称 列ごとに長短が順番に配置される フランス国とは何ら関係ない名称付け =>イギリス積み(同列に長短が順番に配置される)
フランスのガラス工業 コルベールの殖産興業政策とヴェネチアへの産業スパイ・職人拉致により起業 1665ルイ14世によるガラス工業免許 吹きガラス工法による板ガラス作成(円筒瓶を広げる、1平米限界) コルベール死後ルーヴォワ侯爵による拡大 サン・ゴバンにガラス工場 1693流しガラスCoulage工法(鉄の上にガラスを流し大きな板ガラス作成)で頂点へ
プリンス Plinth マイニング攻撃への防御として城壁下部を厚くした部分
古市公威
(土木家)
初代土木学会会長 デュランス川治水施設 マルセイユ港湾施設視察
ブールジュ大聖堂
(フランス・ブールジュ)
Cathédrale de Bourges 12c末〜13c末 サンテチエンヌ大聖堂 フランス風ゴシックの典型 5廊式 西に双塔
ブルー・モスク
(イスタンブール・トルコ)
スルタンアフメト・モスクSultan Ahmet Camii1617 スルタン・アフトメ一世のモスク 室内を青色タイルで装飾してあるのでブルーモスクとも呼ばれる
ブルネッレスキ
(建築家)
Filippo Brunelleschi,1377-1446 ルネサンスの2大建築家 サンタ・マリア・デラ・フィオーレ教会堂の大ドームを完成 オスベダーレ・デリ・インノチエンティ〈孤児養育隣〉透視図法の発明者とされる
プロテスタント レオ10世免罪符発行→1517ルターの抗議 ルター:教会の介在なくても個々人が聖書に基づいて信仰すればよい 免罪符に対する徹底批判 
・優先順序:神→聖書→信者(カトリックは神の次に教会) 
・カトリックと同様に自力では贖罪不可能とするが救いの為の教会の存在は必須ではない
・聖人やマリアを神聖化せず 
・聖書を一般信者に解放 
・教会堂には十字架キリストを飾らない 
・教会に仕える人は先生、日本では「牧師」
・三位一体説 
・教会堂はいわば聖書勉強の場所で質素 
・聖伝はない(聖書のみが真実)
カルヴァンらがルターに続き、多くの教派が出来ている
ルーテル派(ルター)、長老派(カルヴァン)、改革派(カルヴァン)
プロナウンス pronounce ギリシャ神殿の入り口部の部屋
エクサン・プロヴァンス
(南仏、南伊)
Aix-en-Provence イタリアとスペインの問の交通の要所 1182プロヴァンス伯の本拠地となる 円環状の市壁 サン・ソーヴール大司教座聖堂:様式混合
プロピュライア(プロピュラ) Propylaea 神殿の入り口部分の建物
分離派 Sezession 19世紀に起きた様式から逸脱しようとする流儀 ウィーン分離派 オットー・ヴァグナー
ペア柱 双子柱 柱2本をペアにして配置する。これにより柱の配置に柔軟性が出て、リズム感も生まれる。マニエリスム期に登場。
ベイ bay 四隅4本の柱に囲まれた方形エリア 
ベイリー bailey 郭
ベジエ
(フランス)
Béziers ミディ運河の拠点都市 フォンセラーヌ閘門:9段構成21.5メートルの落差を300mで昇降
ペディメント pediment ギリシャ神殿の妻側屋根の緩勾配とエンタブラチュアに囲まれる三角形の部分 あるいは神殿ではなくてもそのような形状の物
・ブロークンペディメント 下の桟が切れているもの あるいは一般的に三角形の一部が切れているもの
・オープンペディメント 三角形の上の頂点部分が切れているもの
・セグメンタルペディメント 上部が円弧形のもの
ペデスタル Pedestal 柱、彫刻、壺 などを置く台座。ローマ時代以前の古代建築では、柱を載せる石の台を指す。
ヘラ第一神殿
(イタリア・パエストゥム)
BC530 正面は奇数の9本柱側面18本ドリス式柱
ベランダ veranda 通常一階に設置される外に開いた回廊の様な空間 二階に設置される場合はバルコニー
ベランダ・コロニアル veranda colonial ベランダを具備したコロニアル建築 =>コロニアル・スタイル
べルヴェデーレ上宮
(オーストリア・ウィーン)
Schloss Belvedere 1721-23 エントランス・ファサードのテルメ柱、大階段室の男性像、下宮殿とつながるフランス式庭園
ベルクフリート Bergfried 高い城塔 キープに似ているが居住はなし
ベルサイユ宮殿 Palais de Versailles 全体では東を上にした「凹」形をした中心城館とその下の方に南翼(高位貴族住居)と北翼が伸びる(王室の住居) 中心城館の西側には広大な庭園が広がる
建築経緯:ルイ13世の狩猟館(1623-24)→改築(1631-34)→サーヴイス棟と厩舎の増築(1661-)→新城館=旧城館を包み込む「包囲建築」の建設(1668-1670)→大使の階段の建設(1675)→鏡の聞の建設(1678-)→(1682)政府をベルサイユに置く。
旧城館:赤色系レンガ、大理石の中庭、外側(庭側)は新城館で覆われる 
新城館:クリーム色の石材 新旧で様式不統一だがバロックの思想でよしとした
ベルサイユ宮殿・アパルトマン
(フランス・ベルサイユ)
七惑星主題:王の美徳を現す 
広間:月(ダイアナ、狩猟と航海) 
衛兵の間:火星(マース、戦争) 
控えの間:水星(マーキュリー、科学と技芸) 
寝室:太陽(アポロ、寛大と壮麗) 
閣議の間:木星(ジュピター、憐情と公正) 
小寝室:土星(ジュピター、賢明と秘密) 
広間:金星(ヴィーナス、愛と美) 廊下がない構造:ヒエラルキーを現す
ベルサイユ宮殿・鏡の間
(フランス・ベルサイユ)
欧州の建物は壁式構造→壁に窓を大きく開けられない→窓の代わりに絵を飾る→絵の中に屋外の風景、天井に天井画を描く→鏡を使った空間の拡張→当時の最先端技術の転用 当時ガラスはベネチアの独占だったがフランスでの国産化着手→産業の育成と目に見える成果展示としての鏡の間→王の権威象徴 
ベルサイユ宮殿・庭園の東西軸線
(フランス・ベルサイユ)
テティスのグロット←四大元素関連の彫像←ラ卜ーヌの泉水←アポロンの戦車の泉水 赤坂離宮の裏庭の池の形はアポロンの形を転用
ベルニーニ
(建築家)
Gian Lorenzo Bernini 1598-1680 バロック建築の3大巨匠 サン・ピエトロ広場・中央祭壇(ねじり柱)バチカン宮殿スカラ・レジア(先細り階段) サンタンドレ・アル・クィリーナーレ教会堂
ベルフリー ・攻城塔Belfrie (Siege tower) 城塞攻撃用の塔 通常車輪を備え城塞前に移動できる
・Belfry 教会堂の鐘楼などでベルが設置される部分(階層)
ヘルムスパイア Helmspire ロマネスク教会堂の塔の屋根にみられるような4つの菱形を組み合わせた塔 ヘルム=兜 スパイア=塔
ベルリン
(ドイツ)
Berlin 15c ホーエンツォレルン辺境伯の本拠地 新古典主義様式の建物が多く残る 
・ブランデンブルク門(1789-94):初期新古典主義、ドリス式オーダーの比例、ディテールは古代ローマ風 
・ベルリン王立劇場(1818-21):古代ギリシア風のイオニア式オーダーとぺディメン卜 
・アルテス・ムゼウム(1823-30):古代ギリシアのアゴラ(ポリスの中心広場)に面して建てられていたストア建築の拡大再現(柱廊を備えた集合商店建築)古代ギリシア風のイオニア式オーダー
・ノイエ・ヴァッヒェ(新衛兵所):柱礎のない古代ギリシア風のドリス式オーダー
へレンキムゼー宮殿
(ドイツ・バイエルン州)
Schloss Herrenchiemsee バイエルン王ルートヴィヒ2世 ベルサイユ宮殿の完全模倣 1878年着工、全体完成はせず 20の広間や大階段
ペンデンティブ工法 正方形の土台(建物)の上に丸いドームを載せる為の工法の一つ。正方形の四隅に三角形状に垂れ下がった構造壁(pendentiveペンデンティブ、1/4の円周ができる)を造り、四角形に内接する円周土台を造り、その上にドームを構築する工法。正方形と円形がスムーズに美しくつながり、力学的にも安定している。ビザンツで開発され(ハギヤソフィア等)、西欧州に広まったのは10世紀以降 他工法としては=>スキンチ工法や多角形土台工法がある
ポインテッド・アーチ pointed arch尖頭アーチ 一般的にアーチの頭部は半円形を成しているが、尖塔アーチはそれを上に引き延ばし尖らせたような形状を構成するので仰高指向の強いゴシック教会堂においてクリアストーリー(窓)などに適合性を持ち積極的に採用されると共にキリスト教のイメージシンボル形として活用された。現代では尖頭アーチはキリスト教という宗教色が強く、それを目的とする建物以外ではほとんど採用されていない。
ポルタイユ  Portail 教会堂の大扉を囲む彫刻装飾
ポルティコ Portico 屋根ありの柱廊
ボローニャ
(イタリア)
Bologna 世界遺産 世界最古の学園都市8cに法律学校 13-16cに市壁 ポルティコ(柱廊)の街
ボロミーニ
(建築家)
Francesco Castelli Borromini 1599-1667 バロック建築の3大巨匠(マデルノ、ベルニーニ) サン・カルロ・アッレ・クワットロ・フォンターネ修道院聖堂
ポンテ Ponte 市街地の道の上に両側の建物から道路上に作られた部屋
ポンペイ
(イタリア)
Pompeii 古代ローマの都市住宅 紀元79年8月24日ベスビアス山の噴火で壊滅 1748年より組織的発掘 ローマの古代野営地カストリウムの構造を持ち、西側のフォロ(フォルム)当たりを中心として東側に発展拡大 都市住宅→中庭(アトリウム、ペリステューリウム)を中心として周りに部屋 パンサの家→BC2世紀に建造工された代表的都市住宅
マイニング mining 敵の城砦壁配下までトンネルを掘って城砦を破壊する攻撃方法 =>カウンターマイニング
まぐさ 開口部の上部に設置され、その上部を支える梁や構造要素 =>リンテル
まぐさ式構造 梁を柱で支える構造 =>軸組構造
マシクーリ Mâchicoulis 防御装置としての石落し
マデルノ
(建築家)
Carlo Maderno 1555-1629 バロック建築の3大巨匠 カルロ・マデルノ ミケランジェロのサン・ピエトロをラテン十字型バシリカに再設計 ナルテックス(入り口部)に3階建て建物増築 正面にバロック様式のファサード サンタ・スザンナ教会堂1603:イル・ジェズ型だがバロック的要素投入(柱間隔、中心指向性)
窓の縦長・横長 壁式構造の場合は縦長が適合 柱式構造の場合は横長が適合
マドリッド王宮
(スペイン・マドリッド)
Palacio Real de Madrid 16c建築 鏡の間あり 1734燒失 1766再建 ユヴィーラとサッケッティ(伊)設計 中庭を囲むロの字型3階建てバロック様式 最重要位置にチャペルを配置(ベルサイユはコの字平面でチャペルは片隅 最重要位置は王の寝室)
マニエリスム様式 maniérisme ルネサンス後期の建築様式1520-1580 
社会の発展にともない大型の公共施設や宮殿などのニーズが高まり、従来のルネサンス様式ではこのような社会の有り様の表現が制限され、限界が現れた。この為にイタリアの従来の建築様式(規則)の殻を破る新手法。これは次のバロック様式にそのまま引き継がれるために「前バロック」とも言われる。ミケランジェロなど。特長となる建築手法としては
=>円柱・ジャイアントオーダ(大オーダ)
=>円柱・双子柱
マニ教 Manichaeism ゾロアスター教から派生し,キリスト教と仏教の要素を加えた古代ペルシアの4世紀以降の宗教 絶対善と絶対悪の2元論
マリア(キリスト教) =>聖母マリア
マリオン mullion 開口部を垂直方向に分割する桟や部材 例:浴場窓
マンサード屋根 17世紀のフランスの建築家フランソワ・マンサールが考案したとされる屋根で、寄棟屋根の外側の4方向に向けて2段階に勾配がきつくなる外側四面寄棟二段勾配屋根
ミケランジェロ
(芸術・建築家)
Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni、 1475-1564 彫刻・絵画・建築 マニエリスムの代表者 サン・ロレンツォ聖堂附属図書館前室1523-1552(大オーダ、ブロークンペディメント) カンピドリオ広場1547-1655(楕円の活用) サンピエトロ教会堂ドーム設計
ミサ missa 礼拝儀式 教派によって位置づけや呼称が違う(東方教会→聖体礼儀 プロテスタント→聖餐式) 7世紀ごろ原型が生まれトリエント1545 でカトリックは定式化。 「最後の晩餐」の再現としてパンを自らの体、葡萄酒を自らの血と表現し、自分が昇天した後も繰り返し集まってこれらを捧げることで、全ての人の罪の許しのために処刑されたキリストの救いの約束を想起させる(カトリックの場合)。
ミサは集中形式の教会堂では実施に支障があるようでラテン十字形バシリカ様式(あるいは単に長方形のバシリカ様式)が適合する =>サンピエトロ大聖堂 =>ラテン十字形
ミナレット Minaret イスラム教寺院モスクの周囲に立つ塔
ミュラル mural 城壁
ミュンヘン
(ドイツ)
München バイエルン選帝侯国の中心都市 グリーク・リヴァヴァル建築群:グリプトテーク(彫刻美術館1816-34)イオニア式円柱を正確にギリシャ様式で再現、プロピレエン(1848-60)ケーニヒスプラッツへの門古代ギリシア風ドリス式円柱と古代エジプト神殿の塔門風のシルエット ルートヴィヒ1世のルネサンス憧憬:レジデンツ(王宮)とその周辺 .新旧建築様式が積層したレジデンツ 多くのバロック様式建築
ミラノ
(イタリア)
Milano 4c初めより百年間ローマ皇帝が住居 313ミラノ勅令 中世は商業の中心 =>サンタ・マリア・ナシェンテ大聖堂 =>サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会堂
ミラノ勅令 Edictum Mediolanense 313年 ローマ帝国がキリスト教を公認した勅令 その後、異教禁止令391
ミフラーブ mihrāb モスク内でメッカの方向を示す祭壇状の設備
ムーア様式 Moorish-style 元はムーア人の様式。幾何学模様や左右対称のアラベスクと呼ばれる装飾を特長とする アルハンブラ宮殿など
ムカルナス muqarnas イスラム建築手用いられる鍾乳洞の中の様な垂れ下がった装飾あるいはそのような装飾天井
ムデハル様式 mudéjar イスラム様式とゴシック様式の融合 スペインに多い 例:セビリアのアルカサル王宮
ムラーノ島
(イタリア・ヴェネチア)
Murano ガラス工業の島13〜16c全盛 1291守秘の為ムラノ島に集約 13〜14世紀ビザンツからの技術流入(エナメル彩、ドッティング)1530年頃ラッティチニオの技法(レース・ガラス)、ポイント技法によるエッチング 17cフランスのガラスやボヘミアガラスの台頭で衰退
メスキータ
(スペイン・コルドバ)
Mezquita 786-987 イスラム建築の代表例 二千名収容のモスク 800本の円柱と400の馬蹄形アーチ(赤と白のレンガによるストライプ模様のアーチ)1236キリスト教教会堂へ改変
メゾン・カレ
(フランス・ニーム)
Maison Carrée 「方形の家」 紀元前20年頃にアグリッパによって建設 ほぼ完全な形で現存するローマ神殿 正面にコリント式の円柱が6本並ぶ六柱式神殿 全30本の柱のうち、真の独立円柱は前方の10本のみ(疑周翼式) 他は装飾柱 前段に15段の階段(全体は基壇上)
メダリオン medallion 彫刻、人物像などが付けられる円形・楕円形の飾り板
メトープ metope エンタブレチュアのフリーズ部分にトリグラフと交互に配置される正方形の壁画的装飾 幅は円柱の直径と同じ
メルロン Merlon 城壁最上部の凸型の擁護壁 間の開口部はクレノー
モーレ ・ アントネリアーナ
(イタリア・トリノ)
Mole Antonelliana レンガ作りの170mの古典主義で意匠された塔 展望台あり現在は映画博物館
モスク mosque イスラム教礼拝堂
ミフラープ:堂内に設置されるメッカの方向を示すニッチ
ミンバール:フミラープ付近の説教壇
ミナレット:堂の外の4方に設置される柱
ムカルナス(スタラクタイト):ヴォールトやアーチの基部に設置される折り紙細工のような形状の持ち送り
モスタル
(ボスニア・へノレツェゴピナ)
Mostar 世界遺産 16cの石造橋スタリ・モスト:卜ルコの代表的な建築家シナンが設計 橋の岸に旧市街 モスク跡も多い
モダニズム建築 Modern Architecture 近代建築 20世紀初頭の生産、都市における消費活動と密接な関連を持ち、合理性と客観性を重んじ、都市(建築)や環境の形成の試みで以下のような観点を持つ。
・装飾を用いるのではなく、線や面の構成による美学が適用されている。
・技術の成果がデザインに反映されている。
・社会改革的思想が見られる。
・環境形成(広場や建築群の構成)という観点でデザインされている。
木骨石造建築 木造の構造体に化粧石材を貼り古典風石造建築の外観を構成
モット Motte キープ(ドンジョン)が建つ人口の丘
モット・アンド・ベイリー Motte-and-bailey 中央に丘(モット)を配し、その回りを郭(ベイリー)で囲んだ初期の城塞様式
矢筈積み herringbone bond 石の積み方の一種 石材の対角線を垂直方向に並べる方法 ◇で埋めるような方法 落し積ともいう サンタ・マリア・デラ・フィオーレのドームにも採用されている
洋風模造建築 日本での建築 本来石造のものを木で模造建築
浴場窓 ディオクレティアヌス窓 テルマル窓 縦に2本のマリオン(桟)が入った弓形状窓 元はローマ風呂で使われたということだが、その後、現在に至るまで一般的に使用されている
ラーメン構造 Rahmen structureラーメン=梁 梁と柱が強結合になって構造物を支えている構造
ラヴェンナ
(イタリア)
Ravenna 西ローマ帝国が遷都404 古代ローマ最後の栄光都市 世界遺産 サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ教会堂 ガッラ・プラキディア霊廟 サンタポリナーレ・イン・クラッセ大聖堂(ラヴェンナ最大) サンタポリナーレ・ヌオーヴォ大聖堂
ラテン十字形 Latin cross 一片が長い十字 縦横同じ長さはギリシャ十字 カトリック教会堂の平面はロマネスク時代からラテン十字形が広まった ラテン十字形あるいは長方形はカトリックのミサによく適合する形態。推定の理由としては
@権威性
カトリックの場合、教会(聖職者)は神と信者をつなぐ必須のものであり、その役割と権威をミサに参集する信者に明確にしなければならないが、この時、祭壇を中心にギリシャ十字形で3方向に信者を配列すると横席からの印象が弱くなってしまうのでラテン十字形の長辺に1方向に並べるのがよい
A劇場性
ミサはキリストの最後の晩餐〜復活を再現した一種の劇であり、横席からは鑑賞しにくく、散漫な意識になってしまう。
B音響性
拡声器のない時代に肉声での説教や聖歌、パイプオルガンを響き届かせるには一方向に響かせる方がよい
東方教会がカトリックのようにラテン十字には転換せず、ギリシャ十字のまま残存したのはカトリックの様な強い権力性を持たなかった点と聖体礼儀(カトリックのミサに相当)の様式が強い劇場性を持たなかった為と推定
ラ・ロトンダ
(イタリア・ヴィチェンツァ)
ヴィラ・アルメリコ・カプラ パラーディオ1606 四方に神殿風の玄関(ポルティコ)を持ち真ん中にドームを抱く
ラングドック地方
(フランス)
Languedoc スペインと接する南フランス域 高ラングドック:内陸側 低ラングドック:地中海側 11-12cカタリ派の中心地
ランス大聖堂
(フランス・ランス)
=>ノートルダム大聖堂ランス
ランセット窓 Lancet window 上部が尖塔形になって途中に桟のない背の高い縦細い連窓 ゴシック期に多く使われる
ランタン 採光塔 Lanthan ドームの頂上に設置される尖った屋根形状。或いは=>クーポラのことを示すこともあり。ドームの上に設置され、その窓からドーム内への外光をとりいれることが出来るためランタンという名称になった。
リヴァイバル建築 Revival architecture 18c- 元々のオリジナル建築様式そのものに則り新建築またはリストア
陸屋根 フラットな屋根
リスボンド 受け柱 窓などの小さいアーチを受ける半円の小柱 通常は構造体ではなく壁面分割の装飾意匠
リブ rib 当初はヴォールトの陵部に付けられる強化構造帯 後世には構造面よりも装飾面で用いられた
稜堡 バスティオン 防御補助として城壁から突き出た塔や構築
稜堡式城塞 =>近世築城
リンク・シュトラーセ
(オーストリア・ウィーン)
Ringstraße 市壁跡。6.5Km75m幅の環状路。周囲に各種様式の建物群(折衷主義)。国会議事堂:グリーク・リバイバル様式 奉献教会堂、市庁舎:ネオ・ゴシック様式 自然史・美術史博物館:ネオ・ルネサンス様式 ブノレクテアーター(帝国ブルク劇場)、ノイエ・ホーフブルク宮殿:ネオ・バロック様式 シユターツオーバー(国立歌劇場、1861-68):折衷様式(エクレクティシズム)
リンダーホフ城館
(ドイツ・バイエルン州)
Schloß Linderhof バイエルン王ルートヴィヒ2世 1869年着工
リンテル lintel 日本語で「まぐさ」 窓やドアなどの開口部を作る際、両脇の柱の上に横断して置かれる部材 石材による組積造建築で開口部を作る場合のリンテルは石材の引張強度が弱いので長尺は不可能となり、幅狭い開口部しか作れなかった 後にリンテルに変わりアーチ技法が発明され幅広い開口部が作れるようになった 現代では鉄筋などの部材により長尺のリンテルも可能となった
ルーブル宮殿
(フランス・パリ)
Palais du Louvre 城砦から宮殿へ 元は13cドンジョンを中心とした正方形城砦→1527宮殿へ→1646ピエール・レスコーよりドンジョンを廃し、ルネサンス様式3階建てのレスコー棟建築→各辺倍化(面積4倍)→東側ファサードの設計案経緯 
ルヴォー案:ローマ・バロック的な中央に吹き抜け楕円形広場と楕円形ドーム 
ベルニーニ第1案:ダイナミックな曲線多用ファサードのローマバロック調  
ベルニーニ第3案:直線基調だがやや凹凸ある古典調は着工に至るが途中で中止 
フランソワ・ル・ヴォー案:ローマの教会バロック調を踏襲せず、新しくフランス王権バロック調を現すような双子ジャイアントオーダの列柱群 ただし凹凸は少なくダイナミック性は欠ける→残存 
ルーブル宮殿・レスコー館
(フランス・パリ)
1546フランス人建築家レスコーによる旧城塞の建て直し 3階建てルネサンス様式 1階コリント式ピラスターとアーチ 2階コンポジット式ピラスターと櫛形〜三角形ペディメントの連続した窓 建物中央部にパビリオン
ル・コルビュジエ(建築家) Le Corbusier 1887-1965 ドミノシステム構想1914:柱とスラブ(床と天井の総称)と階段だけからなる開放的な建築 現代建築5要点1927 
・1階部分をピロティにして外部に開放
・自由な平面=柱を構造体にして仕切り壁位置を自由に
・自由なファサード=ファサードを非構造体に
・横に長い窓
・屋上庭園の設置 
アルベルティの壁式構造は正反対 例:ユニテ・ダピタシオン(マルセイユ)
ルスティカ仕上げ Rustication 石造建築で,石壁の表面を滑らかにせず,目地(継目)を際だたせたり,石材面を突出させたり,凹凸を目だたせて,荒々しく力強い表情をもたせる技法 通常、最下層や玄関・出入口回りなどに施される
ルネサンスの時代背景 Renaissance 16-17cにイタリアで生まれて来た文化様式  
後期ゴシック期はペスト大流行、シスマ(宗教分裂)、コンスタンティノープル陥落(西ローマ帝国滅亡)、宗教改革、英国聖公会分離など社会にとってもキリスト教にとっても混乱の時代となっていた。イタリアも混乱の中にあったが、東方との経済・文化的交流は進み、その中で新しい社会の見方が浮上。
・発掘の進展などで古代ギリシャ、ローマ文明の優秀さが見直され(当時はその時代よりも古代の方が文明が高かったとの認識)これを「復興」するのが道であるとの認識
・中世の「絶対神のキリスト教と罪人としての人間との関係」から、「人間も神の完全な創造物として宇宙と調和した自由を持つ」という人間観の発現。
・建築においては古代神殿のような端正な姿が理想(ゴシックのごちゃごちゃした姿ではなく)
ルネサンス建築様式の特徴 16-17c初にイタリアで起こった建築様式 基本的には古代ギリシャ・ローマの建築様式の復興 力を持った商家のニーズ(ゴシック様式は宗教色強い)への対応
・オーダーの徹底
・半円アーチ(ゴシックの尖頭アーチではなく)
・均等性、水平性の重視(等間隔の柱、同じ立体感の柱)
・内部と外部の一致=3階建ては3階建ての外装を持つ(各階毎に柱と梁を付ける)
・隠し屋根
ルネサンス様式教会堂 ・整数比例の幾何学的様式(ベイの配置、正方形、円の多用 等間隔の窓)
・古典の集中式建築(円形、多角形、ギリシャ十字形)への回帰→結局はミサとの関係で上手くいかず、ラテン十字形になる =>サン・ピエトロ大聖堂
・教会堂へのルネサンス様式(オーダー)の適用
→山形の教会堂とルネサンス様式(オーダーの遵守、階構成の明確化)の齟齬が問題(高さを求めるゴシックではこの齟齬は起こらなかった) @側廊高と身廊高の二階建て外観とし構成 =>イルジェズ型教会堂として広く普及
A大オーダーを用いることで一面ファサードを構成=>マニエリスム
レイヨナン Rayonnant ゴシック末期の教会堂のトレーサリーに現れる炎状模様、枝模様
歴史主義建築 19世紀の過去建築の意味づけによる建築群 特定の過去に着目するのではなく、それまでに出てきた多くの様式を全て取り込む 例:パリのオペラ座
レコンキスタ Reconquista 718−1492年までに行われた複数のキリスト教国家によるイベリア半島のイスラム支配に対する再征服活動の総称
レッチェ
(イタリア)
Lecce 11cからの司教座都市 17cのバロック建築群 バロツク様式の教会堂建築や都市住宅が多く見られる
・古代ローマの闘技場 
・サンタクローチェ(バシリカ):様式混在 
・サンティレーネ聖堂:イルジェズ型外観+内部はバロック 
・サン・マッティオ聖堂17世紀 建築家ジンバロとの関係密
ロージェ
(建築家)
Marc-Antoine Laugier 1713-1769 建築の三要素=円柱+梁(エンタブラチュア)+切妻(ペディメント)=軸組構造 壁は構造体として出てこない→東洋の木造建築と同じ アルベルティの組積造に対抗する考え
ローマ
(イタリア)
Rome 建築視点では古代ローマと中世ローマに区分できる 古代ローマは古代ギリシャをモデルとした古典建築群 中世はキリスト教との密関係によるルネサンスやバロックなどの中世建築群
ローマ帝国 Imperium Romanum 王政BC905-BC753 共和制BC509-BC27 帝政BC27-1453 東ローマ帝国395-1453(コンスタンティノープル) 西ローマ帝国395-476(ローマ→ミラノ→ラヴェンダ)=>神聖ローマ帝国962-1806
ロココ様式 Rococo style バロック後期 主に室内装飾の様式、貝殻の曲線を多用する繊細なインテリア装飾 白い壁+黄色・金色・銀色の装飾+大鏡+細かい曲線装飾 特にドイツ語圏で多用された
ロッジア loggia 片側が屋外にむけて開放された長い屋根付きアーケード 例:ローマの捨子養育院
ロトンダ rotundus 平面が円形で通常はドーム屋根を持つ建築物。また円形の部屋。例:ローマのパンテオン、ヴィラ・ロトンダ
ロマネスク様式 Romanesque architecture 4-10c頃の建築様式
ロマネスク様式教会堂 4-10cの多様な初期キリスト教建築を経て、次第に定式化されてきた10-12cの教会堂建築の様式
・ラテン十字バシリカ平面→ミサに適合 
・厚壁構造建築 
・窓が造りにくく内部は暗い 
・天井は立体状に石材で構成(円筒ヴォールト、交差ヴォールト) 
・上部が丸い半円アーチ(アーケード、窓)を多用 
・ロンバルディア帯による外壁装飾(特に切妻の軒下) 
・アプス付近の放射状チャベル(聖遺物展示) 
・塔の多用
・ヘルムスパイアの塔(四面菱形屋根) 
・身廊壁面の構成はアーケード(arcade)+トリフォニウム(trifonium)+クリアストーリー(clerestorey) 
・平面の構成:身廊(nave)、側廊(aisle)、交差廊(transept)、内陣(choir)、アプス(apse)
ロマネスク教会堂(イタリア的特徴) バシリカ様式 鐘楼と円形洗礼室を独立建築とする 柱頭の繊細彫刻
ロマネスク教会堂(フランス的特徴) アプスを取り巻く放射状チャペル→ゴシックへ転用 巡礼路に沿って建築(終点:サンティアゴ・デ・コンポステーラ聖堂)
ロマネスク教会堂特徴(ライン川沿い) 二重アプス 菱形を組合せた屋根(ヘルムスパイア)
ロンデル窓(ガラス) Rondel window 中世の頃までは大きな板ガラスが作れなかったのでビンの底のような小さいガラス円盤を作り、それを鉛などでつなぎ合わせることで作った大きな窓ガラス
ロンバルディア・バンド(帯) Lombard band ロマネスク教会堂に特徴的な軒下の波形の飾り
和小屋(屋根支柱構造) 屋根組で三角断面の中央に柱を立てる構造。斜め材が入らない。