本で見掛けた
ギリシャ神殿風建築
(ギリシャ君) 
国内編 5
東武ワールドスクエア
鬼怒川にある東武ワールドスクエアにはミニチュア(1/25)の建築がたくさんあり、 いながらにして世界の有名建築等をみることができます。 安価で楽な世界旅行((笑))
実際に行ったところをここで再訪するのも面白いものです。 各施設はとても詳細に作ってあるので建築の勉強にも最適。 そこで見ることができるギリシャ建築様式を取り上げてみました
ギリシャ・アクロポリス
ここはともかくコラム(柱)のコロネード(列柱)が見事です。さすが本家本元のギリシャ君。 ここのコラムのキャピカル(頭柱)はドリス式といいます。 その特徴は装飾のない四角い台座方式です


イタリア・ローマ・コロッセウム
この施設の特徴の一つとして 外壁には多くの太い柱に装飾的に古代風のコラム(柱)が付けられています。 各層のコラムのキャピタル(柱頭)は、おもしろいことに3ツの代表的様式が採用されています


1階のコラム  ドリス式(四角い柱頭)

2階のコラム イオニア式(両渦巻きの枕型)

3階のコラム  コリント式(アカンサスの葉の形)

この順序で様式の時代は新しくなり、柱を積み重ねる場合はこの順序に積み重ねるのがルールとなっています。
アメリカ合衆国・ホワイトハウス
正面玄関側は立派なギリシャ神殿づくり。 キャピタル(頭柱)はイオニア式とコリント式を混ぜたようなコンポジット式。

よくニュースにも出てくる庭側。 ペディメントはないがコラムが並んでいる。

日本・赤坂離宮(迎賓館)
必ずしも独立型のコラムではないが 立派な装飾の入ったペディメントとコロネードが重々しい権威的です。 キャピタルはコンポジット式のようです。 ペディメントの直下のコラムは恐らく構造的に意味がなく装飾として存在


イギリス・バッキンガム宮殿
真ん中と左右と3箇所にギリシャ神殿風のデザインが見られます。 キャピタルは歴史的様式ではなくて、独特の様式になっているようです


フランス・ベルサイユ宮殿
大きな宮殿ですね。 何カ所かにギリシャ神殿様式が見られます。 キャピタルは右側はイオニア式に近く 左側は特定の様式ではないようです


日本・東京国立博物館・表慶館
両サイドにギリシャ神殿風様式。 キャピタルはイオニア式


バチカン・サンピエトロ使徒座聖堂
太くて長い柱が壁に接続する形の独立柱として並んでいる。 この教会のオリジナルスタイルはレオナルド・ダヴィンチが設計したが この正面部分は後世の設計者により改修されたもの。 建屋本体に密着し並ぶコラムもペディメントも 構造的には意味がなく装飾的役割と推定。 キャピタルはコンポジット様式


イタリア・ピサの斜塔
有名なピサの斜塔はよく見ると柱だらけの建築。 これらの柱は塔を支える構造材ではなく、装飾としての意味の方が強い。 一階の柱はアカンサスの葉のコリント式。二階以上の柱はそれより新しい形式であるコンポジット式。が採用されているようだ


カンボジア・アンコールワット遺跡
この東洋の古代寺院の列柱の姿や入口部の柱の造作をみると 角柱を使ったり、ペディメント部が丸くなっていたりするけど、 どうみても西洋の神殿様式との類似性がある。コラム部の造作は一番古いドリス式に似ている。この辺の歴史は勉強していていないので良く分からないがギリシャ様式も元辿ればそれ以前の地中海文明やエジプト文明、メソボタミア文明からの潮流の中にあり、その流れの一つがインド方面に向ってこのようて姿になったのかもしれない。


スペイン・グエルパーク
1900年初頭にガウディがグエル伯爵の依頼で設計した公園。 その設計意図はどこかに書かれているのだろう。 ぱっと目には不必要に多い威厳を持つスタイルの列柱。 構造的にはこんなにはいらないはずだ。 列柱のキャピタルは丸形だが、様式としては無装飾のドリス式が近い。 古代神殿の神々の確かな支えの上に憩う市民という感じだろうか?



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