ドイツ・フライブルグ 
Freiburg

オランダ~スイス間の列車移動の途中で一泊してみた。何気ない1泊市内散策だったが、後で調べてみたら 「黒い森」の保護、反原発、自然エネルギー推奨等の ドイツ一(世界一)の環境取り組み都市ということらしい。(訪問・撮影:2012年6月) 

フライブルグ駅は櫛形のターミナル型ホームではなく、通常の通過形ホーム。ちょっと分かりにくいがホームを横断してトラムみたいな軽電車が市街地に向けて走っている。
駅舎も、隣接のビルも、付近のビルも、駅前は近代的装い。旧市街は少し歩いたところにある。ここだけ見ると特に環境に配慮しているとは思えない。
駅の西側(旧市街とは反対)に目立つHerz-Jese教会堂。元は1884年あたりに建築されたが、第二次世界大戦の爆撃でかなり破壊され、戦後に修復されたとのこと。全体はロマネスク調だがゴシックの意匠も取り入れられている折衷形式。クリーム色の壁と茶色の縁取りが美しいし、緑の屋根も爽やかな感じ。入口が西側に向く(祭壇が一番東側に来る)オリエンテーションの配置は真逆の、入口が東側に向く方向で建てられているが、これは東側が街(旧市街)に面するというのを重視した為だろう。この目立つ綺麗な教会堂だがドイツのウェブでも観光情報が少ないのは1992年頃までネオナチの集会に使われていたという経緯があるからだろうか?
夕暮れ時の教会堂は美しかった(宿泊した駅前のノボテル・ホテル客室から)
旧市街地の様子。クルマの乗り入れが規制されているため歩行者が安全に歩ける。もちろん、それは排ガスや騒音防止の意味が強い。エコやオーガニックを売り物にした店も多い
街路の端には日本の宿場のようにベッヒレと呼ばれる水路が流れている。柵も蓋も無いので夜間など足を取られそうで怖いが、これも親自然の一つなのだろう。実質的役割や効果は不明だが、水量あるので夏は涼しげな感じはする。赤茶色の建物は旧市庁舎Altes Rathaus(現在、観光案内所)
マルティン門。昔の市の壁(アーバン・フォルティフィケーション)の城門。当時はここで敵の進入を防御したが、今はここでクルマ規制が行われる。このようなゲートが旧市街を取り囲み幾つかある。
旧市街と外を結び、自動車の利用を削減するトラムが走っている。この走行路はぼ~っと歩いていると危ない。基本的には歩行者側が注意する必要があるらしい。
アルベルト・ルートヴィヒ大学(フライブルグ大学)
近隣には直ぐ豊かな緑が広がる。「黒い森」の入口の街でもある
Sankt Martin-Kirche(聖マーチン教会堂)。子細不明だが両脇のバロック調の太い柱にびっくりさせられる。そんなに古い建築ではないと推定する。内部見学ツアーがあるようだが不参加。周囲は市庁舎広場Rathausplatz になっておりレストランや商店が並ぶ
教会堂前の道路面にMATSUYAMA(松山)とあった。松山にある教会とこの教会は関係あるのだろうか?と思ったが後で調べてみると姉妹都市の関係なので、この文字なのだ。文字の下の図案は松山市章でした。
フライブルグで一番有名な観光スポットフライブルグ大聖堂。1513年完成のゴシック様式の教会堂で尖塔116mはドイツ内12番目高さという。西側入口、東側に祭壇という正統的な配置。
ゴシック様式特徴の横に突き出た構造壁フライング・バットレス
ゴシック様式特徴の先が尖った尖頭アーチ
これもゴシック様式の教会堂に特徴的な装飾ガーゴイルGargaile。雨水の吐水口として利用されることも多い。なぜ、このような物が教会堂に飾られているかについては幾つかの説があるが、キリスト教が土着の宗教を持った地域に入って布教するに当たり、土着の宗教の構成要素をキリスト教に取り込み同化させるということを行っていった(聖母マリアや仏教の××天や××王も同様)という説が説得力ありそうな気がする。
奥が祭壇方向(東側端)  先端アーチのアーケード  細い柱細工などゴシックの特徴満載
大きなステンドグラスの窓。これを構造的に実現する為に建物外側にフライング・バットレスを配備
天井(ヴォールト)の模様が美しい。左右の柱から天井に向かっての上昇指向。天井高を競いあったのもゴシック時代。
束ねられた細い柱は実は柱ではなく柱を細く見せる為の装飾に過ぎない浮遊感を創出する工夫
教会前広場の石畳は見事
大聖堂前広場Münsterplatzマーケットが開かれている
大学の横にあるUniversity Church。バロック調で内部はあまり重厚ではない白亜のロココ調。1683~1701年の建造。
欧州の建築には半円形(アーチ状)の天井や門構えが多く見られる。これは元々が石造の建物では水平の梁を作れない為の構造に由来する。現在では石造だけの建物はないので、多くのアーチはデザイン上の理由。恐らく西欧人にはこのアーチ形が馴染むのだろう(ニコン がんばっています)。
アテネのエレクテイオン(Erechtheion)神殿を支える4体の女性像があるが、なぜかここにも2体の女性像があった。通常の神殿柱よりはかなり手間がかかるので高コストになるとも思うが・・・それで柱は4本あるのに2体で終わったのか?
こちらも石像が支えているが、こちらは男性像で一般的には「テルメ柱」と呼ばれる。テルメとは浴場のことで、ローマの風呂に使われたものであろうか?もちろん、ここのは古いものではなく新しいものだろう。
どうしてこう段々にしなければならなかったのか、理由は不明だがちょっとアクセントが付いて面白い。
この町にも寿司屋です
●○●訪問・散策上のコメント●○●
・駅周辺の簡単な散策であれば宿泊もしないで半日あれば十分だろう。
・環境対応見聞や博物館などのディープな散策であれば2泊くらいはあったもよい。意外と奥深い内容を持つ街ではあるようだ